河出文庫<br> 東京震災記

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河出文庫
東京震災記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309411002
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

一九二三年九月一日、関東大震災。地震直後の東京の街を歩き回り、壊滅した市中で動揺する民衆の声を拾い集めたルポルタージュ。流言が飛び交い混乱の中で歪む人間群像。人々はいかにしてこの大震災から立ち上がったのか。歴史から学び、備えるための記録と記憶。

目次

この世の終りかと思った
一寸先きはわからない
金棒の音
混乱したシインがシインに重って
表現派の絵
Sの話
I君の話
その時のさま
『オッ地震』
瓦の落ちる音〔ほか〕

著者等紹介

田山花袋[タヤマカタイ]
1871年、群馬県生まれ。小説家。『蒲団』『田舎教師』等、自然主義派の作品を発表。1930年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲンショウ

35
メメント3.11にて拝読。私は、人の死に慣れていない。親しく語らう人が明日は居ないって事が想像出来ない。私は、自分の死を意識していない。苦しかろうが、楽しかろうが明日が来る事を疑わない。でも、人は死ぬ。否応なく死ぬ。で在ればこそ、生き残る知恵を残したいと思う。八百年前に罹災した人々は、祠を祀る事でその経験を伝えた。百年前の罹災者は、書く事でその混乱を知らしめた。私達は、何を残せるのだろう…。2013/03/26

シュラフ

25
関東大震災について知りたければ吉村昭の『関東大震災』を読むのがいい。だけれども吉村昭自身は被災者ではないのだから、そこに書かれていることがどこまで本当のことなのか分からない。だから関東大震災の真実を知りたく手に取った一冊。さぞかし衝撃的な内容と想像していたのだが、極めてたんたんと書かれていたのがいささか拍子抜け。被災者への同情も述べられているのだが、むしろ江戸の名残りの消滅を惜しむ花袋の嘆きが印象的。築地魚河岸も大震災を契機に日本橋からの移転計画を練られたのだから、やはり関東大震災は江戸の終焉なのだろう。2016/09/11

ブラックジャケット

17
2023年は関東大震災から100年の節目となる。メディアでも関東大震災の話題が増えるだろう。そのドキュメントとして田山花袋が作品を残していたとは知らなかった。自然主義文学の巨匠として、教科書的な知識から一歩も出なかったが、この書は現代のルポルタージュものと変わらないことに新鮮な驚きを得た。やはり足で稼いだ取材の値打ちだろう。二度の巨大な揺れ、余震が収まらない東京各地を歩き、焼死体や水死体の中を作家の眼で追っていく。描写することに徹した心構えが、時代を超えて伝わる。著者特有の英語のカタカナ表記も印象的。 2023/02/23

hitsuji023

11
地震後の火事の凄まじさ。現代のようにテレビ、ネットなどの情報がないことの怖さ。噂話による不安。災害の怖さを知った。前書きにあるように記述と説明だけではない描写があることによる効果だろう。最後までだれることなく読むことができた。余談だが、本書に出てくる陸軍被服廠(ひふくしょう:軍服などを作る工場)での被害が甚大だったとのことで、ネット検索したところ復興記念館が跡地にあることを知り見学してきた。関東大震災がどのようなものだったのか、写真や実際の被災物などを見て知ることができる。 2024/06/30

モリータ

10
◆初刊は1924年博文館、底本は1991年社会思想社・現代教養文庫刊。◆東京15区の郊外、今の代々木あたりで震災に遭った田山花袋が見聞きした震災。直後から市内に出かけ、本所被服廠の焼け跡にも足を運ぶ。当時、探さなければ見つからない程に東京に飲み込まれていた江戸、そして開化期の東京が焼盡したことを惜しみつつ、新しい東京が生まれることにも希望を見出している。そのような文人らしい視線の一方で、悲惨な大量死の現実や、社会主義者や朝鮮人に関する流言、過激化する自警団の不気味さなども(隠微な形であれ)記録している。2021/05/30

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