感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
277
厚くは無いけと殆どが地の文でページは黒いよ。本書は主人公(ペンペンと呼ばせて頂きます)目線で進行し、出てくる人も限定的で愛称で呼ばれますから助かります。はっきりとした目的や結論がある訳では無さそうなので難しいのですが。ペンペンの心の内を描きたいのかな。その想いが傾れ込んで来る感じなの。自己肯定感が低くてね。そんな視線で物事を捉えるので、真実が隠されていたり、歪んでいたりする様に思うよ。ペンペンの不安は分かるけど、読んでいるこちらの心まで擦り減る様ですよ。これがアルティメット文學と言うものなのか。2025/05/12
starbro
188
第61回文藝賞受賞作ということで読みました。リズミカルなラップのような文章、全く退屈せずハイパワーで、朝の通勤のみで一気読みしました。ある意味で、オフィス・ホラーでした。 次回作も期待です。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039374/2025/01/10
hiace9000
144
”図書館の未映子さん作品に無賃乗車して知った、目の前で全力疾走しながら絡みつく感情の一挙手一投足を酩酊状態で追いかける愉悦、いりのさんも然り。財務係ペンペンの目と耳を無理やりこじ開けて見つめた風景の綻びからの関係性の破壊からの現実の崩壊からの窮屈さと退屈からの完全解放。オウムガイの背ワタ取る勢いでエビ反った臨界点連続突破の究極カタルシス!―”とでも譬えたい文藝作品。言葉の羅列の可笑しみと例示の巧みは、笑いと恐怖の絶妙バランスで読み手の映像的肌感ツボを直撃。文藝賞受賞作らしいクセとエグみ好きの方なら、是非。2025/04/05
道楽モン
74
アップされている感想文では、ほとんどの方がぶったまげていらしゃる。文藝賞は時々、とんでもない作品を世に送り出すので油断なりません。とても用意周到なぶっ飛び具合と、リズミカルな読み易い文体で、徐々に現実認識が狂ってゆく様子を、たたみ掛けるようなスピード感で描写。どこまでが本当でどこまでが妄想なのか。二色の絵の具が混ざるが如く、最初は所々、最後は自己認識そのものがカオスとなる。いやいや、小説自体が妄想の産物ではないか。小説内の現実感とは本当に正しいのか。つかの間の狂気体験。これぞ自由形の純文学。ぶったまげた。2025/04/29
ネギっ子gen
58
欲望にかられての読書だから結構ウォン賭。文章が連なる滅茶苦茶破調はびっくりドン危―。読んだら辛いという意味でby苦。ワオ。七色模様がきれい。over the rainbow♪ 虹の彼方のドリーム。夢破れて酸があり。苦々しい気分。失意のカウンターパンチに滂沱の涙。と涙腺が崩壊したのは老化現象が進行してしまったからで、情緒も涙も私の意思とは関係なしに勝手に出てきて勝手に引っ込む。ってうそうそ。もちろん嘘。急に言葉で襲いかかったりしてごめんなさい笑。こういう言葉って天使の輪っか改めブーメラン。っていう風な小説。2025/07/27