出版社内容情報
監禁されて小説を書かされる流行作家の恐怖。ファン心理から生じる狂気の極限を描くサイコ・スリラー傑作。映画化、二月下旬公開
内容説明
雪道の自動車事故で半身不随になった流行作家ポール・シェルダン、元看護婦の愛読者に助けられて一安心したのが大間違い、監禁されて「自分ひとりのために」小説を書けと脅迫されるのだ。キング自身の恐怖心に根ざすファン心理のおぞましさと狂気の極限を描き、作中に別の恐怖小説を挿入した力作。ロブ・ライナー監督で映画化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
417
スティーヴン・キングは初読。人気のあるのも納得の1冊だった。なんといってもスリリングな上に、それが圧倒的なスピードの元に展開してゆく。そして、終始一貫して怖い。私たち読者もまた、暴力の前にはなすすべもなく、ポールと共におびえ続けなければならない。人間にとっての根源的な恐怖は、痛みそのものではない。それが行使されるのではないかとする想像こそが恐怖の極点である。なお、作中のポール・シェルダンはキングその人に重なるように読めるところも心憎い演出だ。2018/03/25
散文の詞
115
珍しく、あらすじを読んでから読み始めたのだが、脱出できるのかと言うよりも、もっと別のところ(小説を書くこと)に視点が移っていく感じが面白い。 原書を読んだわけではないが、翻訳もうまいのではないかと思う。 ただ、かなりリアルに苦痛が伝わってくる表現は、痛いのが苦手な人を打ちのめすほど。「ああ、アフリカ」です。 まあ、ホラーと言うよりも人間こそが一番怖いものであることを証明する作品かな。 スカッとする結末ではないけど、ある意味満足感があって、穴をうめる感じがいいです。 2020/06/04
扉のこちら側
92
初読。2015年978冊め。【26/G1000】【第3回G1000必読イベント】怖いと評判の作品でしたが、私としては職業柄問題なし(精神疾患系は平気だけど、ゾンビやモンスターなどの異形系とかゴースト系は怖い)でした。ちょっと視点を変えると、コデインをイメージして作られたノブリルの中毒であるポール視点で語られるこの物語は、どこまで信ぴょう性があるのかな。途中からミザリーだけでなくポールも常態ではなくなりますから。2015/08/13
はらぺこ
92
長いけどオモロイ。読み終えると長さが気にならんかったのは最後の方が一気読みやったからと思う。 最初の方はポールが何か行動を起こそうとするたびに残りページが大量に有るので『え~っ、絶対無理やん・・・。残り20~30ページになるまで脱出作戦でも考えとけよ~』と思ってしまう。でも、このポールの行動のおかげでアニーが振り切れて怖さが倍増するんやからしょうがない。 アニーの行為は単純に怖いけど、話が噛み合わないのが一番怖かった。2013/01/19
NAO
79
異常かつ熱狂的なファンに監禁されてしまう人気作家ポールの恐怖の日々。話の最初の方の、人工呼吸をされているポールが女の口が臭くてたまらないとにかく早く離れてくれと感じている場面が、以後起こる異様な出来事すべての象徴のようで、すごく心に残った。ホラーは嫌いだが、この話は、ただ怖いだけの話ではなく、作家が「作品を書くこと」について深く追及されており、とても面白かった。異様さを増していくアニーが怖くてたまらないのに、『ミザリーの生還』を書かずにはいられなかったポールは、アニーによって、真の作家になれたのだろうか。2017/08/19
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- 和書
- 愛猫記 〈その1〉