出版社内容情報
社会・経済的因子による健康格差の実態とその生成機序を「健康格差社会」の言葉で明らかにし各界にインパクトを与えた著者が、その後の研究や社会の動向を見つめ、「どうすべきか」を示す「処方箋」。格差の要因を示すだけでなく「格差対策に取り組むべきか」という判断の根拠をも提供し、その上で国内外で実証されつつあるミクロ・メゾ・マクロレベルの戦略を紹介する。医療政策関係者や公衆衛生関係者にとって必読!の一冊。
近藤 克則[コンドウ カツノリ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
isao_key
6
まえがきで「果たして健康格差は自己責任や必要悪として放置しておいてよいものか。それとも国や社会として対策をとるべきなのだろうか。対策をすべきだとしたら、何をどのようにすれば健康格差は縮小に向かうのだろうか。これらの疑問について応え、健康格差の処方箋を示すことが本書の目的である」と述べる。本書は3部構成で、全16章。それぞれの章のトピックがわかりやすく解説されていて、データ、図、などの引用も多い。日本の最低賃金は2014年で780円、米807円、カナダ908円、英992円、仏1,245円に比べてかなり低い。2018/05/21
Schuhschnabel
4
日本における健康格差問題の草分け的存在である近藤克則の最新の一般書。健康格差対策ありきではなく、格差は本当に存在するのか、それに介入することは国がすべきことなのかというレベルから議論を起こしているのがよい。近藤尚己の『健康格差対策の進め方』と合わせて読むと理解が深まる気がする。2017/09/15
Tatsuya Michibata
2
帯に「格差はある。次はどう治療するかだ。」とありますが、ほぼ同感です。ただ、「予防するか」というのも必要かと。それはさておき、読みやすいしコストパフォーマンスがとてもよいと思うのでお勧めです。学習会のテキストにもってこいと思います。2018/03/25
えだ
0
本書のメイン読者として想定されているであろう公衆衛生の関係者からすると、一見「健康」を語るにしては話題が大きすぎるように思える社会や経済のあり方についての議論が冒頭から続き、弱冠戸惑ってしまうかもしれない。しかし、実はこの幅広い議論を展開していくことこそが、まさしく筆者の考える「健康格差社会への処方箋」の眼目なのだ。 いち「専門家」のレベルにとどまらない筆者の見識と視野の広さに脱帽。2020/04/26
KEI
0
健康格差に対するライフコース・アプローチ、個人・家庭レベル、職場・職域レベル、まちづくりレベル、政策レベルでそれぞれ取り組むべきことについてわかりやすくまとめられている。ポピュレーション・アプローチの重要性についても言及していて、気づかないうちに健康を増進させる「仕掛け」が大事なんだと。多方面からのアプローチがあり勉強になった。問題はここからどうするか、何ができるか、である。