出版社内容情報
オリエント・エジプトからギリシア・ローマまで古代技術の集大成―貴金属は古代から崇拝と欲望の対象であり,権力と富の象徴だった。上巻では「古代文明の中の金属」について解説。〔内容〕金/銀と鉛/銅/亜鉛と真鍮/鉄/錬金術の起源/他
内容説明
本書は、考古学的解析、粘土板・パピルス等古代文字の言語学的解析、さらに古典時代の文献、現代技術学にいたるあらゆる手段を駆使して、古代技術の見取図を与えようとするものである。とくに、青銅、鉄などの冶金術をめぐる、各地域の独自的発明とそれらの逐次的伝播の問題については興味深い議論を展開している。
目次
1 金
2 銀と鉛
3 銅
4 亜鉛と真鍮(黄銅)
5 錫、青銅、アンチモン、ヒ素
6 古代の鉄
7 錬金術の起源
著者等紹介
フォーブス,R.J.[フォーブス,R.J.][Forbes,Robert J.]
1900年アムステルダムの生まれ。デルフト工業大学で化学技術史を修め、卒業後ロイヤル・ダッチ・シェル石油会社に入社し、ヨーロッパおよび東インド諸島で勤務。1947年にアムステルダム大学教授となり、古代科学技術史を専門とした。1956~1959年、国際科学史学会(International Congress of History of Science)科学史部門(DHS)会長をつとめた
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感想・レビュー
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とのじ
1
図書館本 漸く全巻読了 内容も物理的にもヘビー。偏りなく近代に続く今は当たり前の技術が、かくも様々な無数の人々の営みから斬進してきた事改めて感じ入る。人類史は専ら哲学や宗教を軸に論じられるが、社会制度や道徳を育んだ社会の安定と成長は殆どが、名も無き幾億の工人達工夫の気の遠くなる蓄積なのだと今更ながら痛感する。本書にたどり着く切っ掛けとなった「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》もお薦めします惜しむらくは、欧州中心の視点の為アジアの展開をもう少し欲しかった2016/05/10
石臼
1
人と金属との関わり。考古学的、文化的なことから精錬などの基本的性質まで網羅的に書いてある。中々興味深い内容だが、資料としての性質が強く、読み物として面白おかしいということは決してない。2013/10/08
人生ゴルディアス
1
文字どおり古代の技術史の本。古代と銘打たれてはいるが、近代に入るまで根本的な技術の飛躍はなかったので、おおむね中世後期辺りまで通用する知識ではないだろうか。当時の冶金や金属知識について、網羅的に書かれている。図も挿入されていて、イメージしやすい。ただ、現代知識からみる古代技術の解説がやや少ないような気がした。現代についての知識も持ち合わせていない自分としては、もう少しその点が多くても良かったかなと思う。なお、高校で化学をとっていないと、読み進めるのは億劫かもしれない。2011/10/17