内容説明
島原の乱の開戦前夜、天草に語り継がれた秘史に光を当てる。天草を守った武将・麟泉、美しい姫として民に愛されたお京、日本語とポルトガル語の辞書編纂に奔走した少女・おせん。秀吉の天下統一から江戸幕府へ、激動の中で三人は何を「地上の星」と見定めたのか。禁教と戦乱に翻弄された女たちの歴史小説。
著者等紹介
村木嵐[ムラキラン]
1967年、京都市生まれ。京都大学法学部卒。会社勤務を経て、1995年より司馬遼太郎家の家事手伝いとなり、司馬夫人である福田みどりの個人秘書を務める。2010年、『マルガリータ』で松本清張賞を受賞。2023年、『まいまいつぶろ』が日本歴史時代作家協会賞作品賞、本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞し、直木賞の候補作にもなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さぜん
39
島原の乱以前の天草の歴史。あまり知識のない時代と地域ゆえすんなりとはいかなかったが、ザビエルから始まる宣教の舞台に眠る秘史に惹きつけられた。天草を愛し守った美姫、お京と、日葡辞書の完成に寄与したおせんを主軸に戦国の世を描く。あとがきにあるように「日葡辞書」の原版は1603年にイエズス会が長崎で刊行され、500年もの間滅びずに残っている。イエズス会という集団と、それを取り巻く日本人が起こした奇跡が現代に繋がっていることが興味深い。2024/12/23
エドワード
19
あとがきで著者は、途方もなく巨大な日葡字書を見た驚きを語る。この書を著したのは誰か。1560年の天草。宣教師と共に来日したアルメイダは、辞書が必要と考え、彼の通詞・兜巾にその編纂を命じる。戦国時代、大友、島津、竜造寺等が天草五人衆と称される領主と争い、キリシタン貿易や様々な利益を争い騒乱を極める。兜巾を助けるおせん、天草の領主の姫・お京の二人の目を通して、天草の混迷が丁寧に描かれる。秀吉の九州征伐、新領主・小西行長と加藤清正。行長はキリシタンを助け、清正は彼らが籠城する本渡城を落とす。日葡字書の行方は!2025/03/10
好奇心
1
字書(じしょ)とは、漢字を分類した辞典のこと、天草今の長崎県、群雄割拠の時代、島津・大友の巨大勢力の中、生き抜いた、小一族、日本語とホルトガル共通の辞典を生涯を賭けて作成した人がいたことは、信じられないこと、兜巾という人物、歴史上のも出てこない人、初めて耳にした名前である、現在でも使われている辞典であろう、印刷機もあったは?これは宣教師が持ち込んだもの、信長は利用し新しい時代を創ろうとした、秀吉は追放令を出し距離をとった?家康は禁教し弾圧し幕末まで続いた、字書とは辞典である2024/07/16
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