内容説明
秀吉の死によって朝鮮出兵は不毛のうちに終る。清正・行長の間に根深い対立を残しただけだった。武断派と文治派を代表するその対立は、関ヶ原の勝敗を分ける決め手ともなり、世は徳川氏のものとなった。慶長16年、家康と秀頼の対面が無事終るのを見届けた清正は領国熊本でその生を終える。大阪夏の陣はその僅か4年後だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
只三郎
25
秀吉無き豊臣家から離れる大名がいる中、豊臣家のために誠実謹直に働く清正公の姿に心を打たれた。 自分の信念を曲げない姿に憧れを感じる。 2018/01/07
Bibliobibuli
21
後半の話は、悲しい、切ない、無念、といった内容でした。真面目で忠実な生き方に武士道のお手本を感じさせられました。生き様は 確かに山中鹿之助と重なってしまいますね!2017/11/21
TheWho
16
下巻に入り朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の全容と各々の思惑が絡まって展開していく。文録の役では、猛将でありながら、非戦闘員の朝鮮の民に対する狼藉を厳禁する等寛容な武将の一面をみせている。そして関ヶ原の豊臣恩顧お大名の分裂の要因でもある、小西行長と石田三成との間柄が種々に織り交ぜ進んでいく。結果秀吉の死後、豊臣家は滅亡に展開するが、その中で清正の深謀遠慮の晩年の姿が絶妙に描かれている。流石歴史作家の重鎮が書いた物語でもあり、清正の視点で戦国末期から江戸初期を描く秀作です。2018/02/24
ペロ
10
虎退治だけではない清正の魅力が満載だった(清正を愛するあまり,海音寺先生の説明文がしょっちゅう割り込んでくる)。戦国の世の終焉と共に為政者の心得を学ぶため論語を一から学習する謙虚さ,そしてそれを即実行に移す行動力。今なお熊本の人々に愛される理由がよく分かる。以前からなぜあんなに一生懸命徳川家に尽くすのか不思議だったのだが,全ては豊臣家の存続のためだったとは。大きな体に似合わず泣き上戸で,熱い忠義の心を持つ清正は,なんと言うか本当に可愛い。もう少し長生きしていたら,豊臣家も一大名として続いていただろうに2016/11/19
kouichi
9
徳川の世の中に変化していく中で、何とかして豊臣家を存続させんとする清正の執念が伝わってきました。秀吉への感謝と恩を決して忘れずに、秀頼を守ることで生涯をかけて恩返ししようとする姿にグッときました。清正の人間としての気高き生き方に感銘を受けました。良い本だと思います。2016/09/27