出版社内容情報
脂ぎった中年の女、三十歳年上の夫の遺産を狙う沢田伊佐子のまわりには欲望にとりつかれ蟻のようにうごめきまわる人物たちがいる。男女入り乱れ欲望が犯罪を生み出すスリラー長篇。解・権田萬治
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井戸端アンジェリか
13
出ましたよ、一番嫌いで一番怖い大人しいふりしてババンバン女。後後妻狙ってたんじゃないのー。なんなのよアンタ、ふん!ひっぱたいてやりたいわ。 想像通りの結末も楽しいけれど、たまには悪い女がニヤリも読んでみたい。悪役に肩入れ派なもので。 前から思ってたけど、松本清張は色白ムッチリ大柄で受け唇な女性が好きなんだなきっと。2015/05/27
ロドリゲス
7
伊佐子の強欲さもさることながら、そこに蟻のように群がる人達の手のひらを返した態度も凄い。最後の僅かなページで上手くまとめている。結局、勝者は速記者だけということか★★★★☆2017/04/27
にせものばかり
7
やはり清張さんの作品は面白いです。いさ子のような女性は怖いですがやはり最後には大きなしっぺ返しが待ってましたね・・。2014/02/25
のぞみ
4
いやぁ、面白かった…。さすが清張、登場人物の配置に全く無駄がない。ラストの形式は他の作品でも見た事があるけど、無味乾燥な書式だからこそ、淡々とした中に『事実』が浮き彫りになって、ゾクゾクするほど怖くて大好きだ。たった数ページで見事に風呂敷を畳んでしまう、その怒涛の力技も、この人に掛かるとどうしようもなく面白い。2016/07/13
ゆーこりん
3
松本清張先生の描く悪女はとんでもない悪女なのだが、この強き蟻(主人公)の悪女っぷりは半端でない。夫がいい人であるだけに、同性であっても読んでいて腹が立ってくる。大逆転は想像にあったが、誰がそのキーマンになるかは書かないでおく。財産家の老人男性が、財産目当ての年下の女性に騙されないことを願う。2018/05/19