出版社内容情報
「劉備を殺すべきです」と献言された曹操は「わが懐にはいった窮鳥をどうして殺せようか」と言った。三国時代最強の魏、七人の名臣!
内容説明
「わが懐にはいった窮鳥をどうして殺せようか」これまでの劉備の生きかたを観て、―人からうけた恩を返す型の人間ではない。と、洞察した。どれほど曹操が厚くもてなしても、劉備に滲みてゆくものはない。檻にはいった虎に愛情をかけても、檻からでた虎は飼い主をいきなり襲うであろう…。中国歴史小説の第一人者がいざなう「魏」を創った男たちの物語!
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945年、愛知県蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後、帰郷。長い空白を経て、「王家の風日」を完成。1991年、「天空の舟」で新田次郎文学賞。同年、「夏姫春秋」で直木賞。1993年度、「重耳」で芸術選奨文部大臣賞。1999年度、司馬遼太郎賞。2001年、「子産」で吉川英治文学賞。2004年、菊池寛賞。2006年、紫綬褒章。2015年度、「劉邦」で毎日芸術賞。2016年、旭日小綬章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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R
59
魏の数ある将からえりすぐりの人物について描いた短編集。魏を長く支えた人物が多いので、曹操から曹叡、なんなら司馬家台頭の頃までの物語が紡がれていて魏志として読んでも面白かった。宮城谷先生らしい、徳の高さという部分の大切さ、それこそが資質という思想がたゆたっていて心地よかった。曹真とか、ほとんど知らなかったが、曹洪との対比で見せるそれぞれの顔が面白かった。武将や軍師としての姿もあるが、人間くさいセリフや仕草の描写が好きだ。2022/09/26
Die-Go
39
図書館本。『三国志』の国の一つ"魏"における、名臣を列伝形式で語る。一人一人が魅力的であり、読んでいて、本編『三国志』よりも楽しかったかもしれない。★★★★☆2022/06/09
キジネコ
34
何処に自分の視点を置くかで物語の見え方が違ってきます。時には善悪正邪の価値さえ転倒してしまう。作家の三国志は読みたくて二回読みましたが全ての登場人物とエピソードを反芻する程の読み方はできていません。もし三回目があれば登場人物の相関図を書きながら物語を追うてみるのも興趣かもしれません。曹操贔屓の私には魏王として死んだ英雄と天子から帝位を禅譲させた後継の退色、明と暗を強く感じます。その大きな潮流を牽引した者達の視座で描かれる三国志スピンオフを楽しく読みました。勝つ事よりも守る事の方が難しいと物語は教えます。2024/04/06
Fondsaule
28
★★★★☆ 名臣7人。 程昱、張遼、鍾繇、賈逵、曹真、蔣済、鄧艾。 当然、魏はもっと知られた人達がいるけど、この7人。2023/05/16
まさ
28
図書館で見つけました。宮城谷昌光さんの描く三国志のサイドストーリー。三国志の多くの作品群を読んでもそうだけど、登場する多くの人物がそれぞれのその生き様を持っている。宮城谷さんの描き方でももちろん。選ばれた7人それぞれ、やっぱりいいなぁ。張遼編の脇役で出ている張遼の相談相手がいい味だしていた。村上豊さんの画も素敵!2022/10/07