出版社内容情報
大好評の’83年版に続いておくる’84年版アンソロジー。「枕草子」以来の伝統は今に受けつがれて、良質のエッセイ集がここに出来あがった。五十三篇の随筆をおさめる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奏市
9
前年の第一回ベスト・エッセイ集に続いて84年の第二回版。自分が生まれた翌年。歴史に名を残す文豪たちの生前の逸話があったり、戦時中・戦争直後の話があったりで驚くことも多かった。当然どれも文章上手いので、笑ったりじんときたりとして心に残るもの多かった。『にせものと目利きの話』が良かった。「一生鍛えぬいた「目」も、その膨大な知識も、跡形もなく白煙と帰して」「我々は、また一からはじめなければいけない。それが死すべき人間に与えられた営為と宿命なのだ」。蕪村と同時代の俳人黒柳召波の句。「憂きことを海月に語る海鼠かな」2022/02/27
hirayama46
2
83年に雑誌や新聞に載ったエッセイから53編を精選したアンソロジー。作家やエッセイスト以外にも、大学教授や医師の作品が多かったですね。全体的に、現在進行系のことに目を向けるよりも過去を遡行するテーマが多く、40年前の時代性を色濃く感じる……という雰囲気はやや薄いですが、現代に書かれたものとしたは違う空気はありますね。個人的ベストはぼろぼろの帽子について綴った水木しげる「帽子の魂」。文章表現においては圧倒的に独特な開高健が印象的でした。2023/07/11