出版社内容情報
第42回星雲賞ノンフィクション部門受賞のサイエンスライター、鹿野司による、2022年に逝去するまで続いたSFマガジン連載を全回収録。AI、疫病、そして自身の父の看取り体験まで、確かな知識と特異な視点に裏打ちされた知的好奇心を刺激する科学エッセイ集
内容説明
“SFマガジン”1994年7月号から2022年6月号まで、273回にわたって長期連載された科学エッセイ「サはサイエンスのサ」。2010年に刊行され2011年に第42回星雲賞ノンフィクション部門を受賞した単行本『サはサイエンスのサ』のすべての内容と、単行本未収録の連載回をすべて掲載した“完全版”がついに刊行!常に論理的、科学的に物事を判断し、人間と世界に対してポジティブな側面を見出し続けてきた著者による、科学観、文明観、宇宙観の集成の書。
目次
第1章 カラダを変えるサイエンス(単行本版『サはサイエンスのサ』より)
第2章 ココロを変えるサイエンス(単行本版『サはサイエンスのサ』より)
第3章 セカイを変えるサイエンス(単行本版『サはサイエンスのサ』より)
第4章 ミライを変えるサイエンス(単行本版『サはサイエンスのサ』より)
第5章 「サはサイエンスのサ」一九九四年七月~二〇一〇一月
第6章 「サはサイエンスのサ」二〇一〇年三月~二〇二二年六月
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
64
『SFマガジン』に1994年から2022年まで全273回の連載コラムにプラス前回の単行本化で加筆していた11個のコラムの集成。著書のSF人生の証し。「解説・SFを生きた人」:堺三保、「鹿野さんとの思い出」:白土晴一、「鹿野さんのこと」:松浦晋也、「鹿野司のこと」:とり・みきと、巻末は完璧な布陣で全646ページ。読む側も大変でした。星雲賞ノンフィクション部門の二度目の受賞は決まり。日本SF大賞の受賞すらありえるかも。『デューン』『夏への扉』『人類補完機構』『エンダーのゲーム』『ガイア』等への評も独自のもの。2024/11/22
くさてる
22
以前の抜粋版を読んでいたけれど、こうやって完全版を手にすると、その知の量に圧倒される。90年代から22年までの連載の集大成なので、著者自身の姿勢の変化もあって、進めば進むほど読みやすくなっていくように思えた。そのなかにある人類の未来や、科学への信頼がまぶしいくらいに良かったのです。厚い一冊なので、任意の章を拾い読みしてもいいけれど、できればゆっくりと読み進めて欲しい。友人の皆様による解説も良かった。わたしも鹿野さんの肩を持ちます。2024/11/21
ばんだねいっぺい
20
筆者渾身の魂のこもったエッセイ集。つれづれなるままに、そのときの注目した事物について、綿密な思考が展開される。部分と全体やこころの理論など、繰り返されるモチーフもあった。2025/03/17
どどんぱ
4
ログインやSFマガジンでつまみ読みしていました。どちらも読まなくなって久しいところ。本書とともに、遅ればせながらの訃報を知った次第。改めて通して読むと、凄い人だったんだなぁと実感。だって、読みやすくて、解りやすくて、心が安らかになるんだもの。みんなに読んでほしい一冊。2024/10/16
Tenco
3
科学ライターである著者が90年代から22年に逝去するまでの間、SFマガジンで連載していたエッセイの全集。SFオタク専用媒体で長きにわたって活躍していただけにその知識や洞察力は推して知るべしだが、本人も意識しているとおり全く権威的になっておらず、読者が自分の頭で考えているかのような語り口は心地よいものだった。また、扱う話題も「科学」と聞いて思い浮かべるような堅苦しいものばかりではなく、政治や経済、サブカルなどと幅広く全く飽きなかった。/SFマガジンは好きな作家の特集が組まれたときに2024/12/02