数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み

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  • サイズ B6判/ページ数 459p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152091420
  • NDC分類 410.4
  • Cコード C0045

内容説明

数をめぐる脳内ネットワークの不思議な実態を明かす明著登場。数の脳内処理に関する第一人者がさまざまな実験の豊富な実例を駆使して、ヒトや動物の数を扱う能力=「数覚」とその意外な実態について綴る、脳科学ファンも数学ファンも必読のポピュラー・サイエンス。

目次

第1部 遺伝的に受け継いだ数の能力(才知にあふれた動物たち;数える赤ちゃん;おとなの脳に埋め込まれた心の物差し)
第2部 概数を越えて(数の言語;大きな計算のための小さな頭;天才たち、神童たち)
第3部 神経細胞と数について(数覚の喪失;計算する脳;数とは何か?)

著者等紹介

ドゥアンヌ,スタニスラス[ドゥアンヌ,スタニスラス][Dehaene,Stanislas]
1965年、フランスのルーベ生まれ。もともと数学者であったが、脳が言語と数を処理する能力の研究に惹かれ認知心理学・神経科学に転身した。現在コレージュ・ド・フランス教授(実験認知心理学)、フランス原子力庁・国立衛生医学研究所付属のオルセー認知神経イメージング研究所所長。『数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み』によってジャン・ロスタン賞を受賞した

長谷川眞理子[ハセガワマリコ]
1976年東京大学理学部卒業。1983年東京大学大学院博士課程修了。理学博士。東京大学理学部人類学教室助手、早稲田大学政経学部教授などを経て、総合研究大学院大学教授。専攻は人間行動進化学、行動生態学、進化心理学

小林哲生[コバヤシテッセイ]
2004年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。NTTコミュニケーション科学基礎研究所協創情報研究部研究主任。専門は発達心理学、言語心理学、比較認知科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

月をみるもの

18
“科学者がつねにそれに依存しているので、それが存在することすらときどき忘れられてしまう、科学の道具がある。それは、人間の脳だ。脳は、論理的な機械でも、普遍的機械でも、最適機械でもない。進化によって、脳は、数のような、科学に有用なパラメータのいくつかに対しては特別の感受を備えているが、論理や、長い連続した計算には特別にうとく、効率が悪い。そして最後に、脳には物理現象に人間中心の枠組みを投影するよう、バィアスがかかっているので、進化とランダムさがあるだけのときに、設計の証拠を発見したと思ってしまうのだ“→続く2019/08/18

Bartleby

14
人間の数の認知のしかたについて論じた本。数学史において、数の拡張といっても、まったくの記号的操作によってではなく、身体的条件によって拡張がなされてきたということがわかる。したがって数学という学問は思ったよりもいびつな形で、力業で統合されているイメージのほうが近いようだ。あの天才ラマヌジャンのいとも不思議な数認識についても言及されていて興味深い。あまり生得的な能力だと思いすぎないほうが良いようだ。本書は数学を教えている人にとっても有用な本だと思う。とくに小学生くらいの子たちに。2023/09/14

roughfractus02

6
行動経済的な考えは合理的な選好に不合理を立てるが、選好を生み出す認知場面のバイアスに注目しない。1997年出版の原著が今も有効性を持つのは、選好のバイアスが生まれる数学的な認知に考察の的を絞る点だ。動物には数を量的に把握するモジュールがあるとする著者は、ここから計算や数学領域を作り出すヒトの拡張能力を、進化的文化史的淘汰として捉える。また、進化的に構成された脳がアナログ的に処理をし、感情と分離せず、数学も生得的な量の認知に発するという理由から、脳をコンピュータを同等に扱う機能主義的アプローチは批判される。2018/03/08

CCC

5
数学的直観について。様々な例から考える。数への認識は決して論理だけで出来上がっているわけではない、概ねそんなところだったと思う。言われてみると納得するけれど、普段まったく意識しないようなことばかりで、色々面白い見方を教えてもらった。2013/07/22

Anthony

3
動物も人間も生来、多い、少ないを把握するアナログな数覚を備えている。天秤と同じで、数の比較は近い数の方が、離れた数より時間がかかる。この数覚が色を持って見える人も1割程度いるようだ。脳はデジタルな構成になっていないので、デジタルな論理をもって数学教育をすることは理に適わない。言語としての数は言語が後から備わったもので、脳も別の領域で処理がされる。その他にも、数学を扱うときにはその要素に合わせ脳の様々な場所が連携しながら活動する。数学の天才は脳の構造が違うのではなく数に対する情熱、執着が人と違うことに因る。2019/12/08

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