内容説明
わたしは21歳まで男性に触れられたことがなかった。処女だった。一生ずっと、喜びも痛みも経験できない気がしていた。身体が疼いていた。でも、わたしは醜い。わたしの醜さは、まさに悲劇だ。ある時、わたしはモデル募集の奇妙な新聞広告を見つけた。醜さは「特徴」なんだろうか?でも、もし採用されれば、生まれて初めてだれかの強い視線を浴びられる。心を決めて、わたしは受話器を手に取った。こうして、わたしは40歳前後のカメラマン、ジョアキム・ケレルマンと出会った。彼の背は低く、肌は疲れ、髪は薄くなり始めている。それでも、わたしは彼を愛するように…。
著者等紹介
ブラスム,アンヌ=ソフィ[ブラスム,アンヌソフィ][Brasme,Anne‐Sophie]
1984年生まれ。17歳の時に発表したデビュー作『深く息を吸って』(早川書房)は、ヨーロッパの若い読者からの圧倒的な支持により、文芸書としては異例のベストセラーを記録。13カ国で翻訳された。透徹した描写と衝撃的な内容から「第二のサガン」と評される
河村真紀子[カワムラマキコ]
大阪外国語大学外国語学部フランス語科卒、フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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redbaron
10
お互いに拒絶しているはずが魅かれあい、ただ愛とは違う何かが二人を貪欲に絡ませ、徐々にお互いを…全編重い雰囲気の中、話は進む。塩っからいわ~。2015/04/15
ヒトリ=デ=イキルモン(A.D.??~)
1
かなり読みやすい文章だった。身体にコンプレックスをかかえている女性がある日、新聞広告に「求む芸術写真モデル、ただし身体に特徴のある方。」という記事が載っているのを目にする。それからカメラマンの所に毎週通うようになっていき、段々と彼に恋心を抱くようになる。私が一番おもしろいと思った点は、カメラマンが“怪物(醜い人)”に惹かれていく過程だ。こんなにも醜いのに何故私はここまで心を突き動かされるのかといった心理的描写がなかなかだなぁと思った。是非デビュー作も読んでみたい。2014/05/05