碁を打つ女

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  • サイズ B6判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152085856
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

満州の娘と日本人士官の叶わぬ恋を詩情豊かに描く高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。1937年、満州。寒さ厳しき広場で男たちが碁に興じるなか、一人だけ若い娘がいる。学校や両親、息のつまるような日常から逃れられるのは、碁を打っている時だけだ。ある日、抗日連軍の暴動に巻きこまれた娘は、青年二人に助けられ、次第に親密に関係を結んでいく。この乗にやってきたある日本人士官は、昼は抗日分子の追跡、夜は女遊びの毎日を送る。男は関東大震災以来、「死」に魅入られている。抗日分子が紛れこんでいると思われる広場へ、地元の人間になりすまして乗りこみ、若い娘と碁を打つようになった。連日、二人は広場で対局を続けながら相手の心の揺れを感じ取るうちに、互いの名前も素性も知らぬまま、惹かれあうようになっていく。だが、日本軍と抗日軍の対立は激化し、運命は思わぬ方向へ…。気鋭の在仏中国人作家が端正な文体で描く、世界21カ国で翻訳された愛と戦争の物語。

著者等紹介

シャンサ[シャンサ]
1972年、北京生まれ。8歳で初めて書いた詩が中国の新聞に掲載され、11歳で処女詩集を出版し、12歳で詩の全中国大会で一位を受賞、15歳で子どものための詩の協会のメンバーとなっている。天安門事件後の1990年、17歳で渡仏。画家バルテュスのもとで2年間働き、親交を結ぶ。Porte de la Paix c´elesteで1997年のゴンクール賞最優秀新人賞を受賞、つづくLes Quatre Vies du sauleでカゼス=リップ賞受賞、2001年に発表した『碁を打つ女』は仏語で書いた作品としては3作目にあたり、“高校生が選ぶゴンクール賞”を受賞した

平岡敦[ヒラオカアツシ]
早稲田大学文学部卒、中央大学大学院修了、フランス文学翻訳家、中央大学講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

らむれ

49
静かに碁を打つ姿と不穏な情勢がの対比が見事に表現されていて、作者の完成の鋭さがうかがえる。少女の内に秘めた激しさや欲望が芽を吹くさまはすがすがしく、同時にその勢いゆえにとても不安定で、ついついページをめくる指に力が入る。良書2018/03/26

クリママ

42
シャン・サは12歳で詩の全中国大会で一位を受賞、17歳で渡仏、仏語で書かれこの作品は高校生(リセ)が選ぶゴンクール賞受賞。盧溝橋事件の前後、日本軍と抗日戦線の戦いの中。満州で任務に就く日本人青年士官と満州の千風広場で碁を打つ少女。それぞれのことが1~3ページの短さで交互に語られる。天皇のため死ぬ理念と若い熱量が、外国映画の中の日本人を見ているようで違和感を覚えるものの、読み進めれば一人の人ととして形作られる。日本のことについて書かれた注釈も興味深い。独特の雰囲気、若い作者だからこそ書ける結末が感慨深い。2018/10/07

紅はこべ

29
いずれ恋愛小説の古典に入れたい。

マムみかん(*ほぼ一言感想*)

25
草食男子諸君に「真剣に恋愛してもらいたい!!」と新聞でオススメされていた本。 3人も息子を持つ母として、他人事じゃないぞ…と読みました! しかし、これは…!? ちょっと刺激的過ぎて、逆に後込みしそうだな(笑) もちろん、身分を隠した日本陸軍中尉の青年と自由に憧れる中国人少女を巡る運命の物語は素晴らしく、単なる恋愛小説ではない奥深さがありました。 時が止まったような広場の外で、着々と進む残酷な現実。 壮絶なラストは忘れられないです! 2012/03/01

紫羊

24
この著者の作品は、リシャール・コラスとの往復書簡集を読んだことがあるだけで、小説は初めて。美しくも残酷な、また非常に精緻で洗練された作品だと思った。ただ、主人公である満州の娘と日本人青年将校との恋情には、どうしてもリアリティを感じることができなかった。むしろ、青年将校と光という小妓の儚い恋が強く印象に残った。2013/09/16

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