出版社内容情報
私立探偵サム・スペードが改訳決定版で大復活。ハードボイルド史上に残るの不朽の名作
内容説明
私立探偵サム・スペードの事務所を若い女が訪れた。悪い男にひっかかり、駆け落ちした妹を連れ戻して欲しいとの依頼だった。スペードの相棒が相手の男を尾行するが、相棒も男も何者かに射殺されてしまう。女の依頼には何か裏があったのか…。やがて、スペードは黄金の鷹像をめぐる金と欲にまみれた醜い争いに巻き込まれていく―ハンフリー・ボガート主演映画で知られる、ハードボイルド小説の不朽の名作。改訳決定版。
著者等紹介
ハメット,ダシール[ハメット,ダシール][Hammett,Dashiell]
1894年アメリカ、メリーランド州生まれ。さまざまな職業を経て、1915年、20歳のときにピンカートン探偵社に入社するも、体調を崩し6年後に退社。療養生活を送りながら、“ブラック・マスク”などのパルプ雑誌に探偵時代の経験を盛り込んだ短篇の寄稿を始めた。1929年に長篇『赤い収穫』『デイン家の呪い』を矢継ぎ早に発表。1930年の『マルタの鷹』は何度も映画化されるなど、ハードボイルドの名作として名高い。1961年没
小鷹信光[コダカノブミツ]
1936年生、早稲田大学英文科卒、ミステリ評論家、翻訳家、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
450
本書に対する読者個々の評価や向き合い方は、ひとえに主人公の探偵サム・スペードにかかっている。共感は初めから捨てているので、その存在と人生への向き合い方を受け入れられるかどうかということだ。なにしろ、チャンドラーのマーロウをもっとドライにし、愛嬌を取り去ったような男なのだ。しかも、金には目がないし、美女には手が早い。また、物語の核になるのが何件かの殺人と、ヨハネ騎士団の秘宝というのも、やや陳腐さを免れないか。解説によれば、作者のダシール・ハメットの評価は高まる一方だそうだが、私には対岸のことのように思える。2016/03/29
Kircheis
356
★★★☆☆ ハメットの代表作にして、ハードボイルド作品の金字塔。 粗野で好色で自己中心的なサム•スペードのキャラは好き嫌い分かれるところだが、ある意味理想の男性像でもある。欲望のまま行動する姿は、まるでギリシャ神話に出てくる神のようだ。 個人的にはスペードの性格云々より、全体的に都合の良すぎる展開が気になった。特に、数発撃たれてるのにサムの事務所まで走って辿り着き、鷹を渡してから息絶えるジャコビには「世界一都合の良い男」の称号を与えたい。2022/07/28
おしゃべりメガネ
141
ハードボイルドの原典作品です。正直、面白かったかと聞かれると「もちろん!」と自信を持ってオススメできない感が自分には残ってしまいました。決して訳者さんにどうのこうの言うつもりはまったくありませんが、自分の読み方が‘浅い’のか、どうにも文章がうまくつかめず、リズムにのれないカタチで終始、読み進めてしまいました。一文一文をしっかり読むことに集中し過ぎたせいか、全体がまとまらず「アレっ、結局何だっけ?」となることが自分には少なからず多々ありました。フォローではありませんが、作品の独特の雰囲気は伝わりましたよ。2012/05/26
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
127
サンフランシスコの私立探偵サム・スペードのもとを若く美しい依頼人が訪れる。単純な家出人捜索と思われた依頼だったが翌朝、尾行中のスペードの相棒は死に、尾行していたターゲットも死体で発見される。依頼人の仮面の下から性悪な本性が露わになり、スペードは黄金の鷹像の争奪戦に巻き込まれた事を知る……。1930年発表のハードボイルドの古典。スペードの相貌は「灰色の目と濃い眉、尖った顎が3つのVの字を描く金髪の悪魔」と描かれる。感情表現を極端に排した主人公には、フィリップ・マーロウのようなセンチメンタリズムはみられない。2016/03/13
ケイ
103
ハードボイルドは、この作品の頃からはじまったんだろうか。読みはじめてから最後まで、沢田研二の歌うカサブランカダンディーのイメージだった。女にも甘くない探偵スペード、やはり男としてカッコいい。2015/05/22