出版社内容情報
医学館の教授方であった、父・桂東湖の遺志を継いで女医者となった千鶴は、藍染橋の袂に診療所を開いていた。奉行所からの依頼を受けて牢医も務める千鶴のもとには、日々さまざまな事件が舞い込んでくるのだが……。今秋放映開始予定のNHK土曜時代劇『桂ちづる診察日録』原作。
内容説明
江戸で大評判の伽羅油「花の露」を扱う桔梗屋の主、吉蔵が多額の借財を残して姿を消した。心労で倒れた内儀のおすずのもとに駆けつけた女医者の桂千鶴は、かつて繁盛していた桔梗屋の変わり果てた様子を目の当たりにし、吉蔵捜しを買ってでるが…。父の遺志を継いで女医者となった千鶴の活躍を描く書き下ろし時代小説、大好評シリーズ第七弾。
著者等紹介
藤原緋沙子[フジワラヒサコ]
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。小松左京主宰「創翔塾」出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
16
抜群の腕を持つ女医の千鶴。今回は心の病についても少し触れています。病気の症状そのものよりも、心の声に耳を傾けて一つ声をかけてあげることで、みるみる病状を変えていける。病気はこの時代簡単に治らないし、後遺障害だって残るだろう。まして福祉や介護といった概念も薄かった時代。本当に健康であることは大切だったのだろうな、と思いました。お話としては最終話の『桜紅葉』が好きです。そうなったらいいのにな、と思っていたことが最後に叶ってよかったです。花弁よりも鮮烈な赤い色に祝福された二人が、ずっと幸福でいますように。2011/10/29
calaf
10
タイトルに合わず(?)、表紙のイラスト、第一話の「螻蛄鳴く」ですよねぇ...でも、螻蛄って実物見た事ないかも...「僕らはみんな生きている」にも出てくるのに (笑)2014/11/26
ひかつば@呑ん読会堪能中
7
今回救馬に危機一髪を救われたのは千鶴ではなく十手持ちの猫八だったのはチト残念(w) 医者は身体だけでなく心も診る、ということで相変わらず厄介事に首を突っ込む千鶴の中編3つ、極端な設定の人物ばかり出てくる話だったが、あっというまに読み終えてしまった。2013/10/05
RAKUSI
4
シリーズ7。マンネリが面白いが次作はもう少し後にします。2019/11/27
うみろー
4
『ケラ鳴く』では父の寡黙で実直な背中がカッコいい。『幼馴染み』悪女になった幼馴染みをただただ愛し続ける男が哀しい。『桜紅葉』では兄の代わりに、命をかけて主に尽くす女が愛しい。皆精一杯生きている。2012/03/28