出版社内容情報
東京駅上空に浮かぶ11番ホームに住む少女の悲哀と闘い。幻のデビュー作増補改訂版
内容説明
鏡状門の開発によりC.D.鉄道網が実用化され、世界が数時間で結ばれる時代。東京駅上空2200mに浮かぶ幻の第11番ホームに独り勤務する全身義体の少女T・Bは、150年前の事件で別れた仲間との再会を願っていた。時折ワケありの乗客が降り立つばかりの閑散とした駅にある日、謎の車輌が高速で突進してくるという警報が…“スワロウテイル”世界の裏の出来事を描いたデビュー書籍に未収録作を加えた連作完全版!
著者等紹介
籐真千歳[トウマチトセ]
1976年沖縄県生まれ。心理学科卒。2008年に『θ 11番ホームの妖精』で出版デビュー。『スワロウテイル人工少女販売処』は第10回Sense of Gender賞話題賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
流言
60
『東京駅上空2,200メートル、ここでお待ちしております。何百年でも——』軽快なやりとりと綿密な設定、東京駅の遥か上空に浮かぶ11番ホームが織りなす、鉄のように冷たく血のように熱いサイエンス・フィクション。『スワロウテイル』シリーズは未読だが、こちらだけでも充分に楽しめた。舞台は11番ホームという閉ざされた空間だが、そこから感じ取れる世界は広く、厳しく、果てしない。T・Bも義経も佳香さんも朱美さんも十三月ちゃんも、登場人物が皆、痛ましい過去を背負っているからこそ、日常の愉快な会話に涙がこぼれそうになった。2014/09/11
dr2006
41
面白い!どっぷりSFに沼った⤴鏡状門の開発により亜空間を結ぶ鉄道網が実用化した150年後の世界。東京駅の上空2200mの11番線ホームでたった一人勤務するのが、ほぼ生身と同等の有機式高度全身義体の紡防躑躅子だ。同じくサイボーグの狼「義経」と第七世代人工知能を有するマザーコンピュータ「アリス」とともに、到着する訳アリ列車の相手をする。実は地上の駅と隔離されたこの空中ホームで、躑躅子が一人駅を守る理由があった。超未来の話だけど、歪んだ現代社会の価値観や壊れた倫理感に対する風刺も効いていて、切れ味が良いと思う。2024/07/15
よっち
41
電撃文庫版未読。鏡状門開発で世界が数時間で結ばれる鉄道網が実用化された時代。東京駅上空に浮かぶ幻の第11番ホームに勤務する少女TBの物語。11番ホームを訪れる人たちとTB、仲間の義経・AIを交えたやりとりを中心とした物語で構成されていますが、話の中で徐々に明らかになっていくTBの乗り越えた過去があり、その上で彼女の前向きな姿勢や行動を見ると、周囲の人がその人柄に感化されていくのも納得ですね。ベースとしては明るいテイストではないですけれど、最後は悪くない読後感のお話が多かったです。続編も楽しみにしています。2014/07/23
いおむ
40
面白い!東京駅上空2200mに浮かぶ幻の第11番ホームに独り勤務する150年以上生きてきた全身義体の少女。この設定だけで釣られてしまう自分がいい齢して少し恥ずかしい気もしますが、釣られて後悔しませんでした。ライトノベル、少女マンガのような雰囲気、相棒の狼型サイボーグとの掛け合いに慣れてくれば三編とも奥深くしっかりテーマのある良作。特に第三話の後半の盛り上がりは、泣かされてしまいました、ヤバイ(*≧Δ≦)2019/11/04
まりも
40
電撃文庫版は途中で挫折したけど今回のは最後まで読むことが出来た。東京駅上空に浮かぶ幻の第11番ホームに勤務する少女TBと彼女の相棒義経の物語。設定の難解さは電撃文庫版と変わらないけど加筆修正版だからか読んですぐに引き込まれました。駅という狭い舞台で起きる事件はどれも世界の厳しさと汚さを感じさせるものばかりでしたが、ツラい過去を背負いながらも明るく前向きな姿勢を崩さないTBがいる事で話がそこまで暗くならず読みやすい所がいいですね。シリーズ化という事なので次巻も楽しみ。2014/12/03