内容説明
人類の直面する根源的な問題即ち戦争の克服、環境破壊や資源の枯渇、生と死の問題を、どう解決すべきか。唯識と現代の精神分析・深層心理学との習合を説き、人間の分別知を乗り越える道を示す新進気鋭の仏教入門書。
目次
序章 唯識は二十一世紀の常識か?
第1章 唯識の来た道
第2章 唯識の全体像
第3章 空と宇宙意識―〇、一、二の話
第4章 迷いと悟り―三の話
第5章 心の仕組み―四と八の話
第6章 善と煩悩
第7章 悟りへの旅―五の話
第8章 旅の方法―六の話
第9章 無住処涅槃―∞の話
第10章 深層心理学と唯識
第11章 トランスパーソナル心理学と仏教の習合
終章 唯識は二十一世紀の常識である
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産巣日(むすび)の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kikuyo
27
仏教の空とか縁起の概念がよくわかった「無分別智」を得る、そうすれば生死と涅槃が別々であるという分別をしない「無住処涅槃」は生死にも涅槃にも執着しない状態。 唯識は大乗仏教の深層心理、マイトレーヤ(弥勒)アサンガ(無着)ヴァスバンドゥ(世親)により体系だてられる。開祖的なスーパースターの存在がなかった唯識。 理解しやすい説明ながら、理解はあくまでも実践をともなわなければ意味が無いうことも何度も語られる。とかく誤った方へ向かう人の心の問題に関して大いに参考になり大変良かった。2017/09/16
出世八五郎
22
横山紘一氏の著作で唯識を知ったが難しかった。そして本書だが、唯識の説明に関してアプローチの方法が違うと思った。全然違う。本書は世界世相などと絡めて、何故争いがなくならないかを唯識のマナ識、アラヤー識で説明する。そして、表層意識つまり五感つわれるもので、空即是色を理解しても本当の理解には至らない。マナ識、アラヤー識で理解させることが重要だと言う。そこに救いがある。そして、西洋哲学が筋道立てて理解できるのに対して、東洋哲学つうもんは体感しないと理解したことにはならないと聞く。その鍵がマナとアラヤーにある。2016/11/20
魚京童!
20
すげーわかりやすかった。くどい位に繰り返しながららせんを描くように学んでいくって感じだな。マヤ識の存在が私にもあったのだと気づき、これからの世界の認識を変えていかねばとか思う。そしてもう少しちゃんと唯識と向き合う必要がある気がする。快楽主義者だけではダメだし、痴愚神を礼讃していてもダメだし。仏教というのはなんとなくで理解した気になっていたけど、予想外に深い世界を知った。知ったからには探検したいし、開拓していきたいと思う。ただ時間がない。焦ってはいない。ただ進まないだけだ。2016/12/13
ももたろう
6
目から鱗。今までの世界の捉え方がまるで変わる。これは、凄まじく深い。 私は、般若心経における「空」という概念に興味を持った。そこから、それを理論として体系化したものに唯識があるということを知り、本書を手にとった。 人間の心理を、フロイトの言う意識・無意識など奥深いところまで、全てに明確な説明を加えていて驚いた。 人間は、言葉を使うがゆえに、この世界を正しく捉えていない。まさに、人間は幻想を見ている。本来、私たちは個別なもの、切り離されたものではなく、一つである。にもかかわらず、言葉を使い、2013/06/20
明石屋真奈
4
唯識は確かに明快な「真理」なのだが、我々の常識とはかけ離れているが故に(かなり噛み砕いて書かれていながらも)理解しながら読むには多大な労力と時間を要する一冊。……いや読了しながらも私は百分の一も理解できていない。凡夫ですまぬ。2012/02/08
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