内容説明
「英国」という視座から世界潮流を展望する。日本の未来戦略は「沈まぬ帝国」のネットワークに学べ!著者40年の英国観察の集大成!
目次
第1章 英国との出会い―一九七五年という年
第2章 ユニオンジャックの矢の中核基点として―金融とエンジニアリング力を支えるロンドンのシティ
第3章 ユニオンジャックの矢がつなぐもの―沈まぬ帝国たる英国のネットワーク力
第4章 ブレグジットをもたらしたもの―英国と欧州の複雑で微妙な関係、そしてシティの本音
第5章 英国史の深層―立憲君主制と植民地を巡る苦闘
第6章 日本と英国―四〇〇年にわたる歴史的関係
第7章 EU離脱後の英国の進路―二〇一七年総選挙を終えて
著者等紹介
寺島実郎[テラシマジツロウ]
1947年北海道生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、三井物産入社。調査部、業務部を経て、ブルッキングス研究所(在ワシントンDC)に出向。その後、米国三井物産ワシントン事務所所長、三井物産戦略研究所所長、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、三井物産常務執行役員等を歴任し、現在は(一財)日本総合研究所会長、多摩大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かずぼん
6
ドバイからインド、シンガポールを経てオーストラリアへと一直線に結ばれたユニオンジャックの矢という捉え方が刺激的であった。世界を把握するために、大きく捉えることの重要性もさることなながら、イギリスが歴史的にどうしてそのような世界的な関係に言及しているのかが歴史的な観点からも言及されて納得できた。ヨーロッパにおける歴史的な関係についてはあまりにも複雑すぎてなかなか理解するのが困難なのだが、少なくとも世界史を勉強するのとは違った気持ちで向き合えたので、少しは理解が積み重なったのではないかと思われる。2021/09/17
Yoshihiro Yamamoto
4
A 未来塾や多摩大学でのリレー講座で一度は聴いた話の総決算だ。かつてイギリスが植民地としたドバイ、バンガルール、シンガポール、シドニーへシティから繋がる一本の矢。中東の金融センーターのドバイ、大華僑圏の金融センターのシンガポール、IT技術と資源の中核であるバンガルールとシドニー。金と資金とIT技術を結びつけて「金融とエンジニアリング」をバイタル産業とするイギリスの構図が理解できる。AIIBへいち早く加入したのも歴史的理由がある。かつての植民地と良好な関係を築いていられる英国と日本を対比せずにはいられない。2017/08/12
Kentaro
2
ダイジェスト版からの感想 英国では、金融とエンジニアリングの組み合わせが付加価値を創出するという共通認識がある。その活動を支えるのが、イギリス連邦の存在だ。加盟52か国は、「English speaking people」と称され公用語は英語を話し、英国法を共有し、ラグビー、サッカー、テニス、クリケットなどの英国発のスポーツなどの文化を共有する。英連邦はまさに英国のソフトパワーを象徴するネットワークなのである。ドバイ、ベンガルール、シンガポール、シドニーと英国を結ぶ“矢”がユニオンジャックの矢である。2018/03/09
るるぴん
2
英国の辿ってきた道と今後の展開について、ざっくりと総括した本。 七つの海を支配した大英帝国の面影はないが、各国とのネットワークは切れていなくて、影響力を残しているのは何故なのか。影響力を及ぼしている拠点をつなぐと、まるでユニオンジャックから矢を射たような形にる。そこに英国のしたたかさと強さを感じるし、今後の展開に注目すべき、みたいな内容。英国人のユーモア感覚、現実と対話しながら粘り強く回答を求めていく意思。理念に走るのではなく、程よく妥協していく柔軟さ。歴史の知恵で軽妙に落としどころを見いだすしなやかさ。2017/11/20
inuwanwan
1
大航海時代に始まり、産業革命を経て繁栄を築き、やがて衰退に向かいつつも世界中にその影響力を残し、かつネットワーク力・エンジニアリング力で今なお影の実力国として君臨する大英帝国の姿を、地理歴史・政治・宗教・メンタリティなどの各方面から浮かび上がらせている。 著者自身が英国が好きと言いつつ、歴史的暗黒面にもスポットを当てるなど、今まで知らなかった英国の姿を垣間見ることが出来、またかつてモノづくり大国だった日本が歩むべき道も示唆されており、勉強になった。2019/07/22




