内容説明
重光葵元外相は、敗戦を自覚し反省することこそ日本が復興する唯一の道と考え、獄中で取材をしてこの記録を書いた。下巻は大戦中の諸外交、自らが降伏文書調印の全権代表として調印に赴くに至るまでのいきさつを描く。
目次
日独伊三枢軸(第二次及び第三次近衛内閣)(近衛公と松岡君;大政翼賛会 ほか)
大東亜戦争(東条戦時内閣)(戦争内閣の成立;米国と東亜 ほか)
大東亜戦争・続き(小磯、米内連立内閣)(小磯内閣の成立と最高戦争指導会議;戦時外交 ほか)
降伏(鈴木、東久邇宮終戦内閣)(鈴木内閣と最終戦況;平和の探求 ほか)
著者等紹介
重光葵[シゲミツマモル]
1887‐1957。外交官、政治家。大分県に生まれる。東京帝国大学卒業。外交官としてソビエト連邦、イギリス、中国大使をつとめた。昭和18年、東条内閣における外務大臣に就任。終戦時、連合国最高司令官に対し派遣された全権委員として、戦艦ミズーリ号上で降伏文書に調印した。戦後、A級戦犯として起訴され、禁固刑の判決を下されるも後に減刑。刑期満了後は鳩山内閣において外務大臣・副総理をつとめた
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感想・レビュー
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こまったまこ
6
まずは出だしの文章に度肝を抜かれた。今でも十分通用する日本人評が的確に鋭くさらりと書かれている。現代の日本人にも通用するということは戦後70年たった今でも政治に対する国民の意識は全く成長していないということか。下巻は第二次近衛内閣から終戦の戦後処理まで。この間本当に内外共に色々なことがありすぎるので簡潔に、だが外交面から詳細に書かれていて新鮮味があり興味深い。基本的に陸軍を非難しているが東條英機のことは評価できるところは評価している。獄中で東條が敗戦の原因を著者に論じた内容が印象的だった。2016/03/22
Shinya Fukuda
2
第二次及び第三次近衛内閣から降伏まで。上に続き抑制が効いた視点から描かれる。欧州戦も詳しい。ドイツが勝つことを確信して戦争に突っ込んでいった。愚かだった。松岡外相はドイツに関して知識がなく軍部の言いなりだった。イギリスがアメリカを引き入れることに成功した時点で勝負あった。日本はアメリカと外交交渉をしたがアメリカは戦うことを決定しており外交交渉は時間稼ぎだった。面白いのは鈴木首相が戦争を継続しようとしていたこと。阿南陸相が梅津参謀総長に説得されてクーデターを思い止まったこと。木戸内府の評価が意外と高いこと。2022/04/03
じろ
1
★★★★★ 面白かった…戦争に入るところまではハラハラしたけど、入ってしまってからは軍部にイライラ。しかしこのような光景、会社で見たことある。てことは軍部根性?はまだ生きているということなんだろうなぁ。終戦の日本社会の様子も見てみたくなった。今更日本の歴史がこんなに面白くなるとはなー。 帝国時代の日本も面白いものはあったのだろうけど、やはり命を大事にする社会は大切にしたいなと思う。なのでアメリカがやったことも容易に忘れてはいけないとも思う。逆の日本が他の国にやったこともだけどね…2019/02/10
伊藤 眞由美
0
どうして軍部は暴走したのか。なぜそれを止められなかったのか。 日本軍の真珠湾攻撃がなかったら、アメリカは日本と戦争しなかったのか。 いろんな疑問が浮かぶが、その答えは書かれていなかった。 連合国側の本を探してみよう。 きっと、真逆の内容の気がする・・・2016/05/04
まふ
0
非常にためになる通史であった。軍国時代に入っていく過程が、極めて無駄のない筆致で書かれ、実に明快に理解できる。陸海軍の無益な競争意識が日本をダメにしていった状況がよく分かる。筆者は常に冷静な目で世界を見続けていた。敗戦が極めて当然の帰結であると分かる。優れた日本の敗戦史である。2004/09/21