出版社内容情報
一九九一年十月から九六年二月十二日付まで現代社会を鋭く省察。日本人への痛切な思いと“ひとびとの心”の在りようを訴える最後のメッセージ。
内容説明
1991年10月から96年2月12日付まで、現代社会をするどく省察。「ひとびとの心」の在りようを語り、二十一世紀に生きる日本人への痛切な思いと愛をこめて、今甦る著者の最後のメッセージ。
目次
兵庫船
日本国首相
真珠湾
議論(ディベイト)
鼻水
写真家の証言
窓を閉めた顔
電池
悪魔
地雷〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
55
昭和61年から産経新聞に連載されていたエッセイ。読むとこの時代にタイムスリップするかのものや、歴史・宗教・文化といった上巻とは少し趣を変えたようなエッセイで、私はこのエッセイを当時新聞で読んでいたのを覚えている。そして今この本で読み返した時、時代は違えど物事の本質を捉えておられる著者の視点と慧眼は素晴らしい。司馬氏のエッセイに書かれた時代は関係ない。また時を経て読み返したい。2017/12/30
けぴ
46
1991〜1996年に産経新聞に掲載されたエッセイ。丁度バブル経済〜バブルが弾けた頃の時代。実態の無さに早くから気づいていたようで、流石実直な司馬遼太郎さんです。前作の風塵抄と比較すると、辛口な印象でした。2023/12/31
KAZOO
34
産経新聞の朝刊に基本的には月1回なので、あまり時局に縛られることなく、自由な気持ちで書かれている気がします。様々な本などからの引用やご自分の経験談などから幅広い論点でものを言われています。文章の参考になります。2014/11/08
剛腕伝説
21
司馬遼太郎の正真正銘の最後の作品。最終項の「日本に明日を作るために」は、病床で書かれた。この原稿を編集者に渡したあと、数日で亡くなった。日本という国を愛し、日本人を愛した司馬さんらしい最後のメッセージである。北朝鮮の愚かさ、オウム真理教の愚かさ、そして、作者自身が数学嫌いだった為に命を永らえた項目が印象的。最後の原稿は好きなパーカーの万年筆ではなく、鉛筆で薄く書かれていたとの事。 改めて合掌したい。2020/02/19
時代
16
産経新聞の月一連載エッセイ。亡くなる九十六年二月まで続いた。絶筆。宗教の事や、土地バブルに対する憤懣、文化の有り様など、後半は身体髪膚ではなく司馬さん思いが多く語られた。福島氏との手紙も感慨深い。司馬さんありがとう◯2016/08/31