出版社内容情報
二〇二〇年五月で生誕一〇〇年となる森光子。周囲の人々の証言から、波乱の生涯と、舞台に立とうとし続けた大女優の雄姿を描く。
内容説明
2020年5月で生誕100年となる森光子。女優としては遅咲きながら、40代で主役の座を射止めた『放浪記』は、上演2000回を超えるロングランとなった。「日本のお母さん」として親しまれ、2009年には国民栄誉賞も受賞。本書では、生前の森が心を許した、浜木綿子・黒柳徹子・奈良岡朋子・石井ふく子・東山紀之・堂本光一にインタビュー。その貴重な証言と多くの資料から、波瀾の生涯と、舞台に立とうとし続けた大女優の姿を描く。
目次
プロローグ 2020年大女優の悲願
第1章 なぜ『放浪記』は愛されたのか
第2章 大女優の憧れ
第3章 ひとりぼっちじゃない。仲間がいた
第4章 『放浪記』2000回、偉業達成を追う
第5章 座談会「森繁・五十鈴・のり平・光子 皆、舞台を愛していた」
第6章 2017回目のカーテンコールでの事件と、その後
第7章 響きあう魂
著者等紹介
川良浩和[カワラヒロカズ]
1947年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。NHKにて「NHKスペシャル」などのドキュメンタリーを手掛け、同番組での『森光子「放浪記」大いなる旅路』などを制作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
9
個人の感想です:B。ブッククラブ文集『放浪記』原稿の参考本。1961年~2009年まで2017回の『放浪記』の舞台で森さんは林さんを演じた。原作は大正末~昭和初頭の話だが、菊田一夫舞台脚本では戦後著作多忙で、疲労困憊でやがて亡くなることを暗示する。舞台脚本も原案に含めた映画(成瀬巳喜男監督・1962年高峰秀子主演)でも同じ結末になっている。森さんのお芝居を観たことがないので、どこであの有名な「でんぐり返し」が出てくるのかと思ったら、第4幕第2場「渋谷の木賃宿」で雑誌掲載が決まった喜びを爆発させる場面だった2025/02/06
nishiyan
9
森光子生誕百年を記念して出版された森光子さんの軌跡を辿るルポルタージュ。本書の軸に据えられているのは森光子さんの代名詞「放浪記」である。第一章で「放浪記」を紙上で上演して見せたのは楽しい作り。これによって、林芙美子と森光子さんの共通点を知らせるだけでなく、孤独であった森さんに強く想いを馳せるように仕向ける演出なのだ。黒柳徹子さんとの縁も興味深い。本当なら「心友」であった赤木春恵さんのインタビューがあればよかったのだが、赤木さんは既に…。ジャニーズとの関わりなど知ることもでき、大変興味深く読ませてもらった。2020/03/24
hitotak
8
心から「先生」と呼んで尊敬するのは杉村春子ただ一人、舞台期間中に倒れた森の代役を断った浜木綿子に感謝を告げたこと、大規模公演の後の孤独感で苦しむユーミンへ「飽きずに続けるだけでいい」と言葉を送るなど、48年に渡り同じ舞台を続けた森光子のエピソードが紹介される。ジャニーズタレントや芸能界の有力者達との極めて親しい関係性や、晩年の衰えが記憶に残り、全盛期の「日本のお母さん」のイメージが忘れられたこと、舞台中心の女優活動で、映像作品に代表作がないことなどが仇となり、現在、正当な評価がされていないようにも感じた。2024/03/24
Kuliyama
0
先日タケヤ味噌にお伺いして手にしました。森さんはもちろん存じ上げていましたが、これほど偉大な方と改めて認識しました。放浪記は一度観にいきたかったです。2023/05/12
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