出版社内容情報
確かな価値や秩序原理を失って、世界は混沌に向かっている。日本もその潮流のなかで、どう振る舞うかが問われている。いま、文明が陥ったニヒリズムに対して、人間の生を復権するために保守思想の役割は大きい。 ただ一方で、現実政治の動きを背景に、保守とリベラルの意味について、いまさまざまな言論が巻き起こっている。「保守とは何か」をもう一度確認する必要に迫られているのが、現代という時代でもある。 そうした中、保守の論客として、産経新聞から朝日新聞まで、ときに厳しく、ときに人間味豊かに語ってきた著者が、ホームグラウンド『表現者』に長きにわたって書き続けた文章を集成したのが本書だ。「保守主義は政治の一部エリートのものではない。それは自国の伝統にある上質なものへの敬意と、それを守る日常的な営みによって支えられる」と著者は述べる。そこにあらわれた愛国心は排外的ではない。そして特別な階層や集団の専売特許ではありえず、まさに国民的な課題だといえると告げる。柔軟で成熟した保守思想の深みを、味わいのある文章であらわした名作。
佐伯 啓思[サエキケイシ]
著・文・その他
内容説明
世界の無秩序化が進み、日本も方向を見失っている今、わたしたちは、「保守とは何か」を確認する必要に迫られている。改めて、成熟した保守思想の意味を問い直し、その深みを味わいのある文章で著したのが本書だ。「保守主義は政治の一部エリートのものではない。それは自国の伝統にある上質なものへの敬意と、それを守る日常的な営みによって支えられる」と、著者は述べる。本書が見せる保守思想へのまなざしは、ときに厳しくもまた柔軟で人間味豊かだ。
目次
巻頭二論(無秩序化する世界のなかで「保守思想」とは何か;「近代日本のディレンマ」を忘れた「現代日本の楽園」)
第1章 価値の喪失(革命幻想の末路;「あの戦争」は風化していない ほか)
第2章 意味ある生とは何か(「働くこと」の再構築;反核国家の「資格」 ほか)
第3章 歴史について(回帰する歴史と漂流する歴史観;ポツダム宣言の呪縛 ほか)
第4章 国民国家のために(欲望と暴力の支配する世界;傷ついたヨーロッパ ほか)
著者等紹介
佐伯啓思[サエキケイシ]
1949(昭和24)年、奈良県生まれ。東京大学経済学部卒。同大学院経済学研究科博士課程単位取得。滋賀大学、京都大学大学院教授などを歴任する。2007年正論大賞受賞。著書に『隠された思考』(サントリー学芸賞)、『「アメリカニズム」の終焉』(東畑記念賞)、『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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