内容説明
藤原道長、平清盛、足利義満、織田信長、マッカーサー…権力者たちはなぜ天皇に取って代わらなかったのか。田原総一朗が挑む日本史最大の謎。
目次
いまなぜ天皇論なのか
敗戦という最大の危機
天皇はいかにして生まれたのか―古代1
「日本」成立の契機‐白村江の戦いと壬申の乱―古代2
天皇あってこその摂政・関白―古代3
平清盛と源頼朝―中世1
後鳥羽天皇と後醍醐天皇‐承久の乱と建武の新政―中世2
足利義満の「皇位簒奪」計画―中世3
織田信長と正親町天皇―近世1
天皇取り込みを図った豊臣秀吉―近世2
幕府に天皇は必要だったのか―近世3
明治維新―近代1
日清・日露戦争―近代2
昭和の始まり―近代3
日米戦争回避を願った昭和天皇―近代4
著者等紹介
田原総一朗[タハラソウイチロウ]
1934年(昭和9年)、滋賀県彦根市に生まれる。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。以後、活字と放送の両メディアで精力的に活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわうそ
22
★★★★★まず、さすが、中央公論新社だ、手触りがいいずっと撫でてたいぐらいだ笑、使用している紙もいい田原総一郎先生の力作である、なぜ、田原総一郎先生と呼び始めたかというと、僕が田原総一郎先生に対する誤解をこの書で説かれたからだ!田原総一郎先生がなぜ政府を信用しないのか、それは田原総一郎先生が戦争時代生き抜いてきたからだ、つまり、戦争前と戦争後で政府が言っていることが百八十度変わり信用できないと田原総一郎先生に印象付けたのだ2016/07/23
白義
17
歴史上天皇の権威は常に盤石だったわけではなく、どこかで廃止されてもおかしくはなかった。なのになぜ天皇というシステムは続いたのか。その疑問を元に日本史の碩学達にヒアリングした成果をまとめたものだが、実質的に途中からただの天皇を中心にした日本通史本になっている。さすがの人脈とぶっちゃけ質問力によるまとめだが、テーマに密着した密度が維持されていたのは前半までで「神々の血統そのもの」という神話が成立していた古代天皇の特殊性は合点が行ったが、その後その権威が形骸化していった後は手薄。天皇からの日本史入門としては秀逸2015/09/09
ZEPPELIN
6
廃止の危機が何度もありながら、それでも現在まで続く天皇制。戦後すぐの調査でも約9割の国民が天皇制支持であった理由は何なのか。複雑な歴史の流れもあり、明確な理由が示されないのはいいとしても、途中から天皇論ではなく早足で学ぶ日本史といった形になってしまっているのはよろしくない。ワクワクするのは序盤だけで、その後はタイトルから予想する内容と実際の内容の差が縮まらず。面白いテーマなだけに、この点は残念。日本人による昭和の戦争の総括がまだされていない、という意見には同感です2015/08/12
乱読家 護る会支持!
3
白村江の敗戦で中央集権国家へ。幼帝により権力を把握し、日本書紀により天皇になれなかった藤原氏。天皇は神の子孫と信じた源平。朝廷牽制の為、京都に幕府を開き、南北分離で天皇の権力を削いだ足利尊氏。国王になりたかった足利義満。信長は天皇抹殺を企てたのか?出自偽造で関白となった秀吉。朝廷を利用し東照宮で家康を天照と並ぶ神にした江戸幕府。公家とのしがらみを断つため東京遷都をした大久保。戦争に反対した明治天皇。戦争回避を願った昭和天皇。。。テーマは天皇制はなぜ続いただか、本論を忘れ「日本史の教科書」にした田原氏。2015/03/03
Yoshihiro Yamamoto
2
A 天皇制が万世一系続いてきたのは、日本において権威と権力が分離しており、為政者は天皇を自分の権力の源泉として利用したためである。また、貴族階級など支配者階級はみな神話の中にその源泉を持つ同じ神々の子孫であったため。歴史の解説書としてもわかりやすく、各時代の専門家へのヒアリングが記されていて、新たな知見も多い。しかし、なぜ「天皇に権威があるのか」という肝心の点には触れていないところが残念。昔、昭和天皇をまじかに見ることができた瞬間、雷に打たれたように神性を感じ、「尊皇!」に転向した理由を知りたかった…。2014/12/31