内容説明
教育の現場に身をおく作家たちの活きた言葉を通して彫刻が多様でわからないものであることを理解し、それぞれの視点であらためて彫刻を捉え直す。素材・技法がさまざまで他ジャンルと結びつくことの多い今日の彫刻は、「彫刻とは何か」という共通の理解をもち得ていない。彫刻は、彫刻に関わる人の数だけ存在する。彫刻が「わからないもの」と見做される理由のひとつには、この彫刻についての考えの多様さがあるのだろう。しかし、この多様さ=彫刻のわからなさこそ、彫刻の豊かさの証明である。彫刻を識り、彫刻を考えるための一冊。
目次
モデリング(「モデリング」について;粘土A 粘土による塑造 ほか)
カービング(「カービング」について;木A 木彫 ほか)
金属(「金属」について;鉄A リアルな素材 ほか)
ミクスト・メディア(「ミクスト・メディア」について;インスタレーションA モノを置く技術 ほか)
特色のある授業(「特色のある授業」について;彫刻学科研究室の授業について ほか)
著者等紹介
冨井大裕[トミイモトヒロ]
1973年新潟県生まれ。美術家。武蔵野美術大学教授(彫刻学科研究室)。99年武蔵野美術大学大学院修了。2015‐16年文化庁新進芸術家海外研修制度研究員としてニューヨーク(アメリカ)に滞在。既製品に最小限の手を加えることで、それらを固定された意味から解放し、色や形をそなえた造形要素として、「彫刻」のあらたな可能性を模索する。個展、グループ展多数。実験スペース「壁ぎわ」「はしっこ」世話人
藤井匡[フジイタダス]
1970年山口県生まれ。東京造形大学教授。九州大学文学部卒業。95年から2007年まで宇部市役所学芸員として『現代日本彫刻展』ほかの展覧会を担当。後にフリーランスとして、東京や大阪での展覧会や、日本各地でのアート・プロジェクトに携わる
山本一弥[ヤマモトカズヤ]
1978年高知県生まれ。彫刻家。武蔵野美術大学教授(共通彫塑研究室)。武蔵野美術大学大学院修了。αMプロジェクト2006、中京大学アートギャラリーC・スクエアなどで個展の他、「光陰―ひかり、かげ、とき―」岡崎市美術博物館、「ダブルリフレクション 世界を見つめなおす瞬間」富山市ガラス美術館などのグループ展に参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。