文庫赤  18-B<br> 猟人日記

文庫赤  18-B
猟人日記

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

twinsun

5
学生時代に途中まで読んで放り出してあったのを改めて通読。「ペチカ」(北原)、「トロイカ」(ロシア民謡)、などで訪れずとも頭の中にある広大な原野やロシアの人びとの暮らしや風物がこれでもかと生き生きと、また「ボルガの船曳」(ガルシン)に見られるような搾取されるだけの奴隷たちの厳しい現実が主人公の所詮は歩み寄ることに距離を置いた貴族の冷徹な視線で描写される。奴隷から人民に名を変えた後も圧制者や都市生活者に搾取され続ける心根の優しい辺境の民衆の哀しみの原点がここにある。2023/06/03

がんぞ

5
初刊本は二分冊で、そのせいか後半はチェホフ的(絶望的)オチが多い。実話でなく小説でもなく「真実」がある。海外留学をし仏語も独語も話せるが独創がなくなんとか下級役人となった貧乏貴族青年、さる政府高官のことを「彼も我々と同じ人間じゃないか」と言ったために社交界という出世の道を閉ざされた話など、貴族・公職にも厳然と階層があるのがわかる。だが主に描かれるのは趣味の狩猟に明け暮れる貴族と、農地・森林を維持する農奴の対比で、従容と運命に従う農民・工職人・女中。わずかに「人権」を求めると主人は大騒ぎ、発狂したように扱う2016/06/18

kthyk

3
農奴解放はプーシキンが有名だが、1861年アレクサンドル二世に農奴解放令を決意させたのはこの「猟人日記」という説がある。ツルゲーネフは作家たちと距離を置き、生涯の大半をロシアではなくドイツやフランスで生活している。どうみてもロシア人作家らしくないツルゲーネフ。だからこそ、ロシアの自然と人間を自由に美しく、率直で優しく包み込むように描けたのではないだろうか。彼の視線はどこまでも深入りはせず、光を当てるだけ。農奴の悲惨さがテーマなのではない、人と自然を他者とする、人間そのものの孤独がテーマなのだ。 2020/10/16

2
初めてツルゲーネフの作品を読みました。チェルトプハーノフをめぐる物語は彼自身が宿命のように生まれる以前から奪われ続けていくことが一つの主題になっているのですが、語り口や登場人物がとても生き生きとしているからか、何か芯や弾力のようなものを感じる話でした。2015/08/24

お気楽になりたいお気楽さん

1
訳が良いのかとても読み易かった。ロシアの自然、生活などを写実的(?)に丁寧に表現していて、まるでその場面に居合わせているかのようだった。登場人物では暴れん坊のチェルトプハーノフに好感が持てた。読み込めば人生のヒントがいろいろ見つかるかも。☆☆☆☆2021/11/11

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