新潮文庫
残夢整理―昭和の青春

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  • サイズ 文庫判/ページ数 247p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101469249
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

昭和に生きた著者の記憶に生きる残夢のような死者たち。彼らを切実に回想し、語りあい、消えゆく時間とともに、紡ぎ上げた鎮魂の書。

青春を昭和に過ごした著者の記憶に棲み着き、事あるごとに現れる残夢のような死者たち。文学や芸術を語り合い、酒を酌み交わした友人たち、学問の奥深さを教えた恩師、能の道へと導いてくれた孤高の天才、戦争に人生を左右され、二十歳で夭折した従兄弟――。彼らと対話し、涙を流し、運命を嘆き、深い諦念に身をゆだねる。消えゆく時間の切実さとともに紡ぎ上げた鎮魂の回想記。

内容説明

青春を昭和に過ごした著者の記憶に棲み着き、事あるごとに現れる残夢のような死者たち。文学や芸術を語り合い、酒を酌み交わした友人たち、学問の奥深さを教えた恩師、能の道へと導いてくれた孤高の天才、戦争に人生を左右され、二十歳で夭折した従兄弟―。彼らと対話し、涙を流し、運命を嘆き、深い諦念に身をゆだねる。消えゆく時間の切実さとともに紡ぎ上げた鎮魂の回想記。

目次

1 レ・ゾアゾウ
2 珍紛漢
3 人それぞれの鵺を飼う
4 宙に浮いた遺書
5 ニコデモの新生
6 朗らかなディオニソス

著者等紹介

多田富雄[タダトミオ]
1934‐2010。茨城県生れ。千葉大学医学部卒。東京大学名誉教授、免疫学者。1971(昭和46)年に、免疫反応を抑制するサプレッサーT細胞を発見し、世界の免疫学界に大きな影響を与えた。野口英世記念医学賞、朝日賞、エミール・フォン・ベーリング賞など受賞多数。’84年、文化功労者に選ばれる。能への造詣が深く、新作能も手がけた。著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『独酌余滴』(日本エッセイスト・クラブ賞)『寡黙なる巨人』(小林秀雄賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新田新一

16
免疫学者の著者が、青春時代に出会った人々を描いたエッセイ集。著者はこの本を書いたときに癌に侵されており、転移のために左手しか使えない状態でした。自分の死期が近づいていることを知り、人生の総決算の一つとして書き上げたのでしょう。成功の有無にかかわらず、どんな人の人生も尊くて重みのあるものだ、という著者の静かな主張が胸を打ちます。結核のために特攻に参加できず、苦しみながら死んでいった青年を描く「宙に浮いた遺書」が特に心に残ります。自分の希望が潰えた後、彼は文学を支えに生きたそうです。2024/01/17

紫羊

6
もう多田先生の新刊を読めないのが淋しい。2019/04/12

酒井一途

6
書店で呼ばれたように手に取った本。著者が共に青春を生きた、すでに亡き友たちとの時を語る。これは死者との対話によって書かれた文章である。著者自身癌によって命が長くないことを知り、最後に書く作品とわかった上で綴っていたようだ。生の悲しみが言葉の節々にあった。生の悲しみとは必ずしも悲観的なものを意味してはいない。人間、老いた先で身を委ねる諦念はこの上なくおだやかで、しずまっている。そこまで行き着き、生と死とが交じりあって混在するような感覚を世界にたいして覚えたとき、人は無常というものを知るのだとおもう。2013/06/18

123456789wanko

5
免疫学者として有名な著者が人生の終わりに臨んで書き残した、昭和を駆け抜けた友人たちの想い出。けして、華やかではなく苦い思いをさせるものも多い。「祖国を守る戦いでたおれるなら、純潔のまま死ねる。生きる目的を失うことなく、無垢の生を全うすることができる。そのためには急がねばならない。目隠しされた馬のように、十七歳の少年は、ひたすらそこに向かって走った。」特攻隊に志願した友人について、こう綴っている。2013/07/04

takao

2
ふむ2023/12/08

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