内容説明
若だんなは、前世でどんな人だった?若に会いたい、とつぶやく玉の付喪神。見覚えがあるという貧乏神の金次は、合戦の時代に出会った“若長”のことを語り始める。鈴彦姫は、縁のある神社の宮司が、一太郎に生まれ変わったのでは、と推理する。さらに、三百年前に前世の若だんなに惚れていたという麗しい鬼女まで現れ―。輪廻転生をめぐる全5話を収録、人と妖との絆が胸に沁みる第17弾。
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
高知県生れ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学卒。漫画家アシスタント、書店員を経て漫画家デビュー。その後、都筑道夫の小説講座に通って作家を目指し、『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。また2016(平成28)年、「しゃばけ」シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
79
人は皆、死に至る今を生きている。今回のテーマは転生輪廻…人である若旦那の定命の果てを転生と云う縁で語り直した物語『えどさがし』で感じた寂寥を慰めるように、あやかしたちとの『むすびつき』と云う形で過去に遡って輪廻を紐解くが最後には転生のままならぬ一編を添えて、結びでは「大丈夫。今、私はここにいるよ。そうだろう?」と未だ見ぬ明日を憂うことを否定している。永遠は物語の中にあり、そして現実には、生きて在る今こそが永遠なのかもしれない。2020/12/29
bura
73
しゃばけシリーズ第17巻。たしか13巻までは読んだはず。久々に手にしたなぁ。江戸通町にある長崎屋の病弱でいつも律儀に寝付いている若だんなと、付喪神や鳴家など妖たちの相も変わらずにぎやかな物語。推理小説の要素もあるのでそちら側からも楽しめる。今回は「前世」がテーマ。輪廻転生を巡る5話の短編が連なる。これだけ長いシリーズなのに飽きさせないのは、作者のユニークな感性と創造力の成すところだろう。挿絵の柴田ゆうのキャラ絵もこの世界をイメージするのになくてはならない。うん、面白かった。2022/12/22
紫 綺
53
単行本にて読了。シリーズ第17弾。久しぶりの「しゃばけ」だが、相変わらずの展開で、その歩みはのろい。テーマは生き返り、転生。正月ほのぼのしたくて選んだが、結構シビアだった。2024/01/03
アクビちゃん
53
【図書館】しゃばけシリーズ第17弾! 昔、金次の命の恩人が、なんと前世の若だんな?! そして、若だんなが亡くなり死神になった?! 輪廻転生をめぐる安定の面白さの5話です。「こわいものなし」で、夕助さんが亡くなったのには驚いたけれども、死は意外と身近にあるもの。そして、最近 文中の「強い立場を得たからといって、その者が偉くなったわけではない。何度も言ってるのに、人は簡単にそのことを忘れてしまう」寛朝の言葉に本当に!と、思う出来事があった。この言葉を自分自身にも言い聞かせ、大切にしたいと思った。2021/06/29
優希
47
輪廻転生。今回は生死や命に関する短編集でした。重くはなく、軽く読めるのですが、切なさを感じます。ずっと今のままでいられればいいのにと。2023/11/30