出版社内容情報
女にも逃げられた無職の若者に手をさしのべたのは、金貸しの老人だった。若者の再生を通して人生の意味を感動とともに描く巨編。
十年後も十光年先も、百年後も百光年先も、百万年後も百万光年先も、小さな水晶玉のなかにある。──与えられた謎の言葉を胸に秘め、仁志は洋食店のシェフとして、虎雄は焼き物の目利きとして、紗由里は染色の職人としてそれぞれが階段を着実に登り始めた。懸命に生きる若者と彼らを厳しくも優しく導く大人たちの姿を描いて人生の真実を捉えた、涙なくしては読み得ない名作完結編。
内容説明
十年後も十光年先も、百年後も百光年先も、百万年後も百万光年先も、小さな水晶玉のなかにある。―与えられた謎の言葉を胸に秘め、仁志は洋食店のシェフとして、虎雄は焼き物の目利きとして、紗由里は染色の職人として、それぞれ階段を着実に登り始めた。懸命に生きる若者と彼らを厳しくも優しく導く大人たちの姿を描いて人生の真実を捉えた、涙なくしては読み得ない名作完結編。
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通勤の友本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
117
昭和の美徳、努力 愚直に頑張ること^_^好きですこの感覚^o^安易に結果を求める風潮、自らを鍛えることもせず、ただ楽しいという感覚を得ることばかりに時間を費やす傾向^ ^普通に生きているだけでストレスフルな現代社会と戦後復興を引っ張り活気に溢れていた昭和後期を並べて比べる事は出来ないが、生きる自覚みたいなものは、その議論とはまた別だと。真面目に生きる人ばかりが出てくるこの小説^_^自分に付き合う人の選択権を取り戻せば、この小説に描かれた時間を過ごす事が出来るかもしれない^_^とにかく良い作品でした! 2019/12/23
chikara
87
感動より感謝かな。素晴らしい言葉達が詰まっていますよ。30年愚直に継続する事は無敵の筈。その先にあるのが本当の勝負とは、正にその通りなのでしょう!2013/11/13
B-Beat
72
☆昨日、一気に読み切った。主人公の30歳独身で無職の青年が、自身借金していた金貸しを「業」とする老人の運転手となり、貸付先の返済催促に出向くことになる。下巻に至りその老人の生い立ちや「業」に至った経緯などが明らかになってくる。著者あとがきに「人間にはとりわけ若い人には何らかに支えが必要。今のこのけちくさい世の中は、若者という苗木に対してあまりににも冷淡で僅かな添え木すら惜しんでいるように見える」。だからその苗木と添え木を描いたと。近作の「骸骨ビルの庭」や「水のかたち」に相通ずる読後感。また読み返したい。2014/02/16
ころりんぱ
54
じわじわきます。一人の若者が師と言える人を得ることで、人生を切り拓いて行く。まっとうで愚直な人々のつながりを後ろ盾にして、人に支えられ、人から学び、自ら歩き出す。厳しくて長い道のりも、その覚悟を持って進んで行く。世の中こうあって欲しい、こうあるべきだという作者の強い思いが伝わってきました。主人公の回り道が事あるごとに役にたっていて、経験した事はすべて自分の中の引き出しになっていること、何をするにも真摯に取り組んでいればこそ活かすべき時に活かせるということを改めて感じました。三十年先の自分を見つめよう。2014/01/26
優希
49
それぞれがそれぞれの階段を上り始めたと言えますね。30年後自分はどんな階段を上るのか。人生を描いていて読後感も良かったです。2022/10/19