出版社内容情報
突然の網膜剥離、手術、それに伴う禁煙、熱中したサッカー観戦、そして18年、共に暮らした愛猫トラーの死……。
予期せぬことも、いつかは……と覚悟していたことも、起こってみないと判らないことばかり。
辛辣かつ適確な文章で、小さなこと、大きなことをとらえ、批評する、読み応え抜群の時評的エッセイ集。〈解説〉堀千晶
内容説明
網膜剥離の手術、禁煙、熱中したサッカー観戦、そして十八年一緒に暮らした愛猫トラーの死…。予期せぬことも、いつかは、と覚悟していたつもりのことも…身辺のできごとを綴るとともに、メディアに表れた言説の些細な言葉から透けて見える、幼い無邪気さや無意識の嘘を辛辣にあぶり出す、批評性に満ちたエッセイ集。
目次
正月日記
大久保の桃、その他
入れ替える、メンテナンスする
低所得層向けカップめん
電車内での化粧
スポーツ観戦日和
苔のむす豆
熱疲労日記
文芸時評風!
うつうつ日和
フット!
「母さんとやれよ!」
だって、…
三度目のはじまり
オーラの正体
「ガットゥーゾだったら顔面にあたっていたね」
菊池寛の呪縛
時代錯誤について
死後の世界
不快な十二月、あるいは物忘れ〔ほか〕
著者等紹介
金井美恵子[カナイミエコ]
1947年、群馬県高崎市生まれ。67年、「愛の生活」でデビュー、現代詩手帖賞受賞。79年、『プラトン的恋愛』で泉鏡花文学賞、88年、『タマや』で女流文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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阿部義彦
22
金井美恵子の日常雑録二月新刊でこちらが二冊目。04年から06年までの連載収録。正直小説よりもこっちの方が面白い。阿部和重の芥川賞受賞後の第一作『課長島雅彦』そう言えば有ったよなー、島田雅彦嫌いだけ有って取り上げてましたね。自分も読みたいと思ったら短編なのに、単行本未収録だとは。かと思えば今度は中条省平が血祭りに!サッカーの事ばかり書いてますが私は興味無いので飛ばした。そして、村上春樹告発による安原顯の生原稿古本屋に売り飛ばし事件。金井さんも『岸辺のない海』の原稿を安原氏から返却されてないそう。トラーの死。2025/03/04
バーニング
1
1巻からその気配はあったけど思った以上のサッカーエッセイだった。2006年ドイツW杯で負ける前からジーコジャパンへの恨みつらみが非常に激しい。しかしガットゥーゾやルーニーという名前がとても懐かしく感じるくらいには過去なんだなとも思った。2025/03/05
mori-ful
0
「そして、また、人生の一断面(ピースオブライフ)の研ぎ澄まされてきらめく切断面が、『小犬をつれた奥さん』のホテルの密会の部屋に置かれた一切れのスイカの切り口として薄赤いみずみずしさとしてひときわ物悲しく輝くのを喜びと幸福のためにも、私は小説を書くのだが、おそろくそうした小説の書き方は、トゥワイス・トールド・テールズとピース・オブ・ケーキなのだ」2025/03/01