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新潮文庫
繋がれた明日

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  • サイズ 文庫判/ページ数 514p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101270265
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

あの夏の夜のことは忘れられない。挑発され、怒りに駆られてナイフを握った。そして一人の命を奪ってしまった。少年刑務所から仮釈放された、中道隆太。彼は人間味溢れる保護司に見守られ、不器用ながらも新たな道を歩みだしていた。その矢先、殺人の罪を告発するビラが撒かれた。誰が?何のために?真相を求め隆太は孤独な旅を始めたのだが―。深い感動を呼ぶ、著者の代表作。

著者等紹介

真保裕一[シンポユウイチ]
1961(昭和36)年生れ。アニメーションディレクターを経て’91(平成3)年、『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。『取引』『震源』と続く通称“小役人”シリーズで着実に読者を獲得する。’95年の『ホワイトアウト』が人気を決定づけ、翌’96年吉川英治文学新人賞を受賞。’97年『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kumicom

57
誰の立場で読んだらいいのか、同情して良いのか悪いのか、私が主人公の立場だったらどうするのか、逆に被害者の立場ならどう考えるのか。とても難しい話だったけれど、厚い本を最後まで一気読み。お願いだからヤケを起こさないで、必ずわかってくれる人がいるから。なーんて思ったけど、それも結局偽善でしかないのかな、とも思ったりして。以前より簡単に人を傷つける犯罪が増えている気がする。加害者にも様々な事情があるのはわかるけど、それでもいろいろ考えさせられる内容。結局、読み終わっても私なりの答えは出せないな。難しい。2015/10/24

GAKU

52
主人公隆太の短絡的な思考回路と、軽率な行動に終始イライラしながら読んだ。人が更生するって難しいと思った。 2021/04/06

chiru

51
過失で喧嘩相手を死なせてしまった若い主人公。この罪ならいくらでもやり直しがきく、社会復帰も可能だという思い込みがあるので、その後の社会の冷遇にぞっとする。主人公が辛さに耐え変え行動を起こそうとすると、読み手まで、そっちに行かないで!!ってはらはら。殺された男の彼女や家族の抱える痛みが追い詰められる主人公の感情とクロスして、主人公が真の贖罪を考えるラストは圧巻。すごいの一言!★4.52017/11/19

みも

42
複雑に屈折した主人公の人間性に共感は出来ない。もとより社会の片隅で生きる小市民に、殺人罪で服役した人間の懊悩など理解すべくもない。しかし著者は、そんな僕にも噛み砕いて教え諭す。寄せては返す波濤の様に、執拗に繰り返す諦念と憤激の堂々巡り。その省察は不安定な情緒を露呈させ、未熟と老獪が混在する独りよがり。怨嗟、自虐、自己憐憫、自己弁護、偏狭な視野と誤認。ネガティブな彼の思考が作品全体を覆い、僕は苛立ちを募らせ捲る指先が滞る。著者が仕掛ける苛烈で理不尽な糾弾は、心を震わす僕に詰問を浴びせ目を逸らす事を許さない。2017/01/30

ASnowyHeron

31
ある犯罪を通じて関わりのある人々の心の動きがありありと描かれていて、自分の中でもいろいろな思いが錯綜した。自分の過ちと贖罪の気持ちい揺れ動く主人公も、一方的に恨まずにいられない被害者家族も、一生傷が癒えることがないのだろう。犯罪を許してはならないと思いつつ、こういう作品を読むと犯罪者がうまく社会復帰してほしいとも思う。2016/10/09

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