内容説明
仲秋の満月の夜、愛犬セタを連れて散歩に出た若い高校教師まりは、豊平川の河原で奇妙な男と出逢う。まるで時代劇から抜け出してきたような格好の男は、津軽藩士・お手廻り組、杉坂小弥太重則と名乗った。アイヌの老婆フチの魔術によって時を越えて北国の街に現われた三百年前の侍と、現代的な女教師との不思議な恋愛を描く、ちょっぴり切ない長編ロマンティック・ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
61
さすが、まりという名だけのことはある。主人公に可愛げがなくて閉口したが、なかなかどうして終わってみれば、まり女と等しく胸に穴の空いたよう。熱狂的なファンに支持されるのも頷けるラブストーリーである。2019/11/16
chiru
37
昭和50年代の作品。でも時代を感じさせないのは、素直になれない「まり」が、現代でも通じるからかな。小弥太に惹かれ、お互いの気持ちが近づいたと思ったら、別れなければならないシーンは、心にいつまでも余韻を残す切なさでした。★5（〝時をかける少女”と双璧だと思います）2017/12/02
neimu
37
この世界に何度浸ったことだろう。こういう「彼」が現れてくれればいいと何度願ったことだろう。そして、自分はどんな人生を送ればいいのか、志や操ということをしみじみ考えさせられた本。映画にもなったけれど、やはり原作の素晴らしさには及ばない。最初に読んでからどれくらい年月が流れても胸が熱くなる1冊。
つーこ
23
大好きな作家さんがオススメしていたので、読んでみました。ストーリーを見た時にこの後の展開は読めてしまうのですが、それでもやはり最後は切なくてジンときました。ただ、この本、かなり昔の本なのですね〜。表現とかセリフとか設定が古くさく、少々読むのに難儀しました。もっと言えば、表紙！『no image』なのが残念ですが安西水丸氏のイラスト・・酷すぎる。あれでは切ないラブストーリーが台無しです。2013/12/07
まろまろ
21
30年前の作品だが古さを感じさせない読みやすさ。今は無き「スパイクタイヤ」だけが昭和だったなあ。時代を超えて静かに深まる恋心をじっくり堪能できた。もしかすると二人の出会いは満月がとりもってくれたのだろうか。2021/10/15
