小学館新書<br> 「少年A」被害者遺族の慟哭

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小学館新書
「少年A」被害者遺族の慟哭

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784098252541
  • NDC分類 368.7
  • Cコード C0295

出版社内容情報

それでも「少年」は守られるべきか

少年による凶悪犯罪が跡を絶ちません。統計によると少年犯罪は減り続けていますが、猟奇的な事件や、いわゆる体験殺人――人を殺してみたかったから殺した――など、動機が不可解なケースは、むしろ増えている印象があります。一方で、少年(未成年)、とくに18歳未満は少年法で手厚く守られており、重罪を犯して刑事裁判にかけられても短期間で出所するケースがほとんどです。遺族たちは口をそろえて「これでは無駄死にだ」「なぜ死刑や無期懲役にできないのか」と憤慨しますが、少年法の壁は厚く、犯した犯罪と量刑が釣り合っているとは言えません。
また、遺族に対する加害者側の対応も、ひどいケースが目立ちます。一言の謝罪もない、追い打ちをかけるような言動をする、民事裁判で決まった損害賠償を支払わない……挙げ句の果てには再犯を繰り返し、また罪に問われている元犯罪少年も少なくありません。本書では、少年凶悪犯罪の遺族たちに綿密な取材を重ね、そうした実態を明らかにするとともに、少年と少年法の罪について深く考察します。

【編集担当からのおすすめ情報】
1948年に成立した少年法は4度改正され、そのたびに厳罰化の方向に向かっています。しかしまだ遺族たちが満足するレベルには至っていないし、少年による凶悪犯罪は発生し続けています。「酒鬼薔薇聖斗」に触発されたのか、猫などの動物を殺す事件も頻発しており、不穏な雰囲気が漂っています。
選挙年齢の引き下げにともなって、少年法も改正されるとは思いますが、刑罰は年齢だけを基準にしていていいのでしょうか。少年院などの矯正プログラムは、本当に機能しているのでしょうか。
この本がそれらのことを考えるきっかけになれば幸いです。

内容説明

“厳罰化”が進められ、被害者側の権利も拡大してきた少年法。しかし、まだ殺人事件の遺族が納得できるレベルではない。また、民事裁判で損害賠償が認められても、履行を強進する術はなく、加害者の“逃げ得”にあうことも多い。少年によって我が子の命を奪われた被害者遺族たちは、どうすれば“救われる”のか、何を望んでいるのか―。長年にわたる遺族への取材を通じ、ほとんど知られることがなかった少年審判の実態、「謝罪と贖罪」の現実に迫る。

目次

第1章 短すぎる「不定期刑」の罪(「川崎中一男子生徒殺害事件」の現場;息子が最後に見た風景 ほか)
第2章 殺人を犯した少年が再び犯行に及んだわけ(再び事件を起こした元殺人犯;人を殺しても重罪には問われないという不条理 ほか)
第3章 「贖罪」に終わりはない(前触れもなく「謝罪」にあらわれた加害者;眼球が飛び出るほどの激しいリンチ ほか)
第4章 「賠償」の意味を考える(些細な理由で始まった集団リンチ;「あなたたちの息子がやったことを、目に焼き付けておきなさい」 ほか)
第5章 少年法と実名報道(「人を殺してみたい」という衝動が止まらない;前兆は、すべて見過ごされた ほか)

著者等紹介

藤井誠二[フジイセイジ]
1965年、愛知県生まれ。高校卒業後、本格的にノンフィクションライターとして活動を開始。教育問題、少年犯罪、沖縄問題等について精力的に作品を発表、テレビやラジオ等でも提言している。とくに犯罪被害者遺族問題については、その綿密かつ、当事者の声を真摯に聞く取材に定評がある。愛知淑徳大学の非常勤講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆみねこ

83
少年法って何だろうか?こういう本を読むたびにやるせない気持ちになります。被害者のプライバシーは丸裸にされるのに、未成年であることを盾に加害者のことは名前も少年A・B・Cで写真もNG。せめて賠償金の支払いくらいは誠意をもって続けてほしいのに、姿をくらまして未払いのままのことが多い。国は被害者遺族にもっと寄り添って補償をしてもらいたいと強く思いました。罪を犯した少年たちとその親よ、命を落とした被害者にきちんと謝罪・贖罪を!2017/07/10

GAKU

70
この手のノンフィクションを読む度に、少年法に憤りを感じます。何故加害者の少年たちをここまで擁護しなければいけないのか?それに反し被害者家族の事は全くおざなり。特に賠償金の支払いに関しては殆どが支払われず、「逃げ得」になっている状況には驚きました。『加害者少年たちから被害者への「謝罪」を、国が担保していく施策“たとえば遺族への損害賠償金が確定すれば、それをまず国が肩代わりし、加害者には国が徴収して行くようなシステム”をつくりあげていってほしい。』という被害者の遺族の方々の意見には非常に共感しました。⇒2017/06/11

51
人の親であれば、被害者の親か加害者の親か、どちらかになる可能性はゼロではなく、もしも加害者の親になってしまった時、何をすれば誠意ある謝罪と見てもらえるのか、被害者遺族の気持ちを逆撫でしない言動ができるのかどうか、全く答えが出ない。しかしこれに出てくる加害少年とその親は、自分のしでかした大罪を理解しているとは言えず、守られるべき被害者側よりも加害者側が守られ、命を絶たれた被害者に未来はないのに、加害者の未来を守ろうとする。せめてもの賠償金ですら払われることは少ない。少年犯罪を聞くたびにやるせなくなる。2017/07/04

リキヨシオ

38
少年犯罪の謝罪と賠償には多くの問題点がある。作文レベルの謝罪ですべて終わりと考える加害者と家族、10年の時効と支払いが滞っても義務が発生しない逃げ得な損害賠償金、両親である事を放棄した加害者の両親、少年法を利用しながらも責任逃れをする加害者両親、加害者にとって贖罪するには厳しい環境、被害者よりも加害者に関心を持つ世論…理不尽に子供を殺された被害者遺族が直面する厳しい現実に重たい気持ちになる。謝罪や賠償を終えたから償いが終わりではない。少年法は加害者の更生は保証されてる一方で被害者に対する贖罪が含まれない。2015/12/14

higurashi_jp

16
賠償金に払う義務が無いのはおかしいだろ2017/10/13

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