出版社内容情報
平賀源内から、ヒトラーまで! 妖怪マンガでおなじみの水木しげるが贈る、一風変わった人物たちの伝記短編集!
▼第1話/平賀源内と殿様▼第2話/源内と田沼意次▼第3話/源内と火浣布▼第4話/平賀源内の放屁論▼第5話/エレキテルと幽霊屋敷▼第6話/ 二笑亭主人▼第7話/貸本末期の紳士たち▼第8話/国家をもてあそぶ男(前・後編)▼第9話/サンガ村のボロタハム氏▼第10話/チンタンポ▼第11話/南の超人たち▼第12話/フランスの妖怪城▼第13話/幸吉空を飛ぶ●主な登場人物/平賀源内(江戸中期に活躍した学者・戯作者。エレキテルの発明で有名)●あらすじ/“面白生活の創始者”平賀源内の生涯とは…? 四国・讃岐の足軽の子として生まれた源内は、自らの天才ぶりを鼻にかけるイヤミな少年だった! 将来を心配した両親は源内を高松藩の重臣のもとに奉公に出すが、そこでも彼の自惚れは相変わらずで……(第1話) 。●本巻の特徴/江戸のマルチタレント・平賀源内、国家で個人のスリルを楽しんだ男・ヒトラー、早く生まれ過ぎた「和製ライト兄弟」幸吉……。生きている時は、奇人・変人と呼ばれた幾多の天才たち。彼らは果たして幸福だったのか…。周囲の価値観に捉われない神経の持ち主である反面、他人に理解されない、天才ゆえの悩みも多かった? 読めば、アナタもきっと幸せになれる一冊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
N島
16
世界はまだまだ奇ッ怪に満ちている。この本で改めて世界の広さを思い知らされました。古今東西の様々な奇ッ怪紳士が並びたてられており、その節操のなさはいかにも水木的です。一方でアクの強いエピソードばかりが集まっても、きちんと1冊の本にまとまる不思議な協調力もまた、水木的と言えるのではないでしょうか。個人的には二笑亭の主人とシュバルの話が好きです。個人のための建築物がどうしてかくも人々を惹きつけるのか?まるで某双亡亭のようなアヤシイ魅力はどこから湧いてくるのか?この本を傍らに、ちょっと考察するのも面白いかも。2021/02/17
tama
10
図書館本 偶然見つけた 鳥人幸吉の縁があって 96-97年小学館ビッグゴールド掲載の単品集。大人向けで、ストーリーがぬるいです。貧乏生活を抜け出してずいぶん経った頃なのだからだろうか?「貸本末期の紳士たち」「フランスの妖怪城」はおススメ。著者による手塚治虫の似顔絵は、初めて見た。白土三平はいつも通り、つげよしはるはほぼ鬱な雰囲気。フランスの郵便配達は雰囲気がいかにもな感じで戦後間もない白黒フランス映画のよう。2021/02/23
みのにゃー
7
処分前の再読。平賀源内・ヒトラーといった有名人の他、アフリカはマリ共和国のボロタハム氏や戦後間もない貸本屋の漫画家など、奇人変人の伝記漫画。渡辺金蔵氏の二笑亭や、フランスの郵便夫シュヴァル氏の建てた宮殿(現存)を見てみたい。2020/08/18
ビシャカナ
4
東西の奇っ怪な人物と水木先生の体験をもとに描かれる人間の幸福について。平賀源内の境遇を大成せずに幸福とは言えないと評し、二笑亭主人を物狂いではあったが至福であり面白い作品を作ったと評し、そして過去に客観的に描いたヒットラーを今作では水木先生が主観的に語るなど、全編を通して水木先生独自の価値観が伺える。さらに水木先生をモデルにした旅行記は世界の秘境の大らかでエネルギッシュな世界が描かれ、水木先生とその仲間たちの貧乏ながらも愉快な生活が描かれる。水木先生は妖怪漫画家と呼ばれるが人間を描いても面白いのだ。2014/09/18
でろり~ん
3
この作者はもう居ないんだなあ、とつくづく思ったです。巻末のエッセイで妖怪マンガ家という呼称に異論ありとしていますが、個人的には博物学マンガ家なんだと感じます。興味を持てば何に対しても真摯に向き合う。不思議と思うこと全てに対して可能な限り調べ上げる。賞賛や批判はさりげないレベルに止める。創造者として見事な姿勢ですねえ。幸吉さんの話だけをみても始祖鳥記に比較して圧倒的に短いものですが、特に幕府を批判するでもなく、その人物の特殊な能力とエネルギーだけを描いていて、お見事でした。ドゴン族の話とか誰か描かないかね。2016/12/31