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出版社内容情報
孤高の王者、五島雅(ごしまみやび)。戦うことでしか癒せない孤独。拳によってしか語れない言葉。それらを描破した松本大洋の傑作、新装版でここに再登場!!
▼第12話/開戦▼第13話/望郷▼第14話/開放▼第15話/同調▼第16話/崩落▼第17話/種子▼第18話/交配▼第19話/感傷▼第20話/狂気▼第21話/危局▼第22話/花●主な登場人物/五島雅(ゼロと呼ばれ、世界中から恐れられている天才ボクサー、世界チャンピオン)、荒木(五島のトレーナー。五島が唯一信頼しているパートナー)、トラビス・バル(五島の挑戦者。メキシコからやってきた19歳。スパークリング中に相手を殺したという噂がある)高田秋夫(五島の後輩。東洋チャンピオン)●あらすじ/いよいよ、五島とトラビスの試合が始まった。挑戦的な五島の態度に、トラビスは1ラウンド目から飛ばしてゆく。心配するトラビス陣営だったが……(第12話)。▼5ラウンド目が終わっても、五島は1ラウンドもとれない。連打を繰り返しても、空を切るばかり。五島ピンチ! 一方、トラビスは、確実に五島にパンチを入れていた。にも関わらず、五島はひたすら踏み込んでくる。トラビスは、五島は自分に何かを伝えようとしているのでは? と考え始める(第14話)。●その他の登場キャラクター/ペコ(第12、15?17話)、金さん(第14、16、22話)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
21
〈壊れないおもちゃ(対戦相手)〉としてチャンピオン五島が指名したのは、スパーリング中に相手を殺したという噂を持つメキシコの若き破壊神トラビス・バル。待ち望んだ対戦は、挑戦者の圧倒的な優勢でラウンドが進んでいきます。ついに〈ゼロ神話〉に終止符が打たれる時か、と誰もが固唾をのんでリング上の戦いを見守ります。しかし、トラビスの心の中は、次第に五島の狂気で塗りつぶされていき……。再読するたび、サイモンとガーファンクルの『Boxer』が聴こえる気がします。ただし、途中からピンク・フロイドに切り替わるのですが……。2015/04/05
ホークス
20
再読。下巻は19歳の強打者トラビスとのタイトル戦。彼は五島の望む「壊れないおもちゃ」なのか、五島を喰い殺す「跡継ぎ」なのか。自分の本質について五島の確信は揺るぎない。トラビスには迷いがあり、それが強みと弱みになる。狂気を競い合う二人の血みどろの遊戯はエスカレートし、絵の陰影とスピード感もどんどん増していく。読むほどに苦しく、でもそれが気持ちいい。リングの上でしか生きられない二人と同じく、誰もが暴力性を持て余す。私にはテーマを完全には理解できないが、「次、生まれる時は花がいい」と呟く五島を異端者とは思わない2024/04/02
sibasiba
8
試合が始まる。遂に現れた遊び相手と楽しく遊ぶ主人公。もっと早く、さらなる高みへ。しかしダンスの相手は脱落してしまい、結局、彼は独りになる。歪な傑作。2015/07/23
kanon
7
なんという話だ…悲しいのだけれど、でも、「良かったね」と感じてしまったのは何故だろう…でもこの「良かったね」にはタイムリミットがあって、それはつまり荒木がいなくなってしまった時か、試合で負けてしまった時なのだけど、その時五島はどうなるのだろう。と、色々考えてしまってまた悲しくなる。五島がいるボクシング界は、果たして機能しているのか、という問題もある。他の階級が面白いのか?これは完全に同情の悲しさなのだが、同情で泣きそうになる体験はあまりしたことがない。心からの同情が出来る、稀有な作品。2018/01/06
shimojik
6
五島は、死や勝負や孤独な場所へ一人で到達したのではなく、荒木がいたからなんだ、というラストシーンの描写はきっと救済。これで対戦相手のトラヴィスや後輩の高田や、解説や批評のできる金さんの意義価値が花咲く、んじゃね?2013/08/18