内容説明
後漢末期。宮廷では皇帝の外戚と宦官に権力が集中、民は疲弊した。肉屋・何進の美貌の妹が後宮に入り、皇帝の寵を受けて皇子を産む。何進は異例の出世をし大将軍となるが、常に己れの分をわきまえ、新興宗教団体・黄巾の徒が起こした反乱に立ち向かう。王朝衰亡のこの時期に輩出した七人の壮烈な生涯を描く短篇集。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成5年度芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成16年に菊池寛賞を受賞、平成18年に紫綬褒章を受章。「劉邦」で平成27年度毎日芸術賞を受賞。平成28年に旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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future4227
53
三国志に登場する何進、朱儁、王允、盧植、孔融、皇甫嵩、荀彧の7人に焦点を当てた人物伝。吉川英治版『三國志』が普及しすぎたせいで、何進や朱儁、孔融などはかなりマイナスイメージが強いのだが、宮城谷さんの描く彼らは全く正反対の人物像だ。常に謙虚な姿勢で周囲の意見によく耳を傾け、皆から絶大な人気がある何進。親孝行で義侠心に富む熱血漢の朱儁。10歳の頃から秀才ぶりを発揮し、機知に富み、正義感が強く、肝が据わっていて、権力におもねずにはっきりと物申す孔融。いずれも素晴らしい義士たちだ。2020/12/25
Die-Go
50
図書館本。三国志の世界において、主役として語られることはなくとも、燦然たる光を放つ名臣達を紹介。何進、朱儁、王允、慮植、孔融、皇甫嵩、荀彧と言った面々。 これはなかなかに掘り出し物だぞ。★★★★☆2022/06/05
HaruNuevo
32
宮城谷さんの眼差しには人への優しさがある。本書で取り上げられた7人の名臣たちのうち何名かは、演義では決して有能、有徳の人物としては描かれていないし、それぞれの物語で脇役として出てくる人物の少なくない人数は、無能極まりなく呆気なく他の勢力に飲み込まれるように描かれている。 正邪を単純化して描く演義の中では、決して当てられることのなかった光を多くの人物に当てているのではないだろうか。2024/07/08
Tomoichi
30
後漢篇ということで、黄巾の乱前後に活躍した名臣達の物語。時代的にハッピーエンドではないので重いです。出世するのって幸せなのかどうなのか。。。2021/01/09
楽
29
初出は16~17年の連載。18年に単行本化。宮城谷三国志の本編が全12巻で次が外伝、本作が14巻に当たる■正史『三国志』は読んでも、自分の中では「三国志演義」系書籍やゲームの影響がまだまだ大きいことを実感■何進(かしん):宮城谷先生も気合を入れて書いたそうだ。現代の世評は芳しくないが、本書を読んで評価を改めた。政治や軍事には無縁なところで育ち、本人もそれを自覚していたが故に、才能が集まり、彼らに任せたところが立派である。孫は何晏(かあん)だが、白粉&振り返りの人か。(以下続く)2021/06/11