内容説明
「僕は野菊がだい好き…民さんは野菊のような人だ」江戸川の矢切の渡しにほど近い明治初期の農村を舞台に、17歳の民子とふたつ年下の政夫の間に芽生えた可憐な恋。だが、悲しい別れの日がやってくる…。純愛名作「野菊の墓」ほか短篇2篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
51
一冊前の新潮文庫のあんちょこにすれば良かった。『野菊の墓』異本と解説されていた『隣の嫁』+『春の潮』はグッドエンディングと言えるのだろうか?2013/07/19
えりか
34
あぁ、これが恋というのでしょう。純粋で真っ直ぐな二人の気持ちは美しい。お互いのことを想い合う。「僕は野菊がだい好き…民さんは野菊のような人だ」と、互いをお花に例えて好きだと伝えることだけで精一杯。あと一歩踏み切ることはない。すごく、ものすごくもどかしい。いじらしい。でも、そんな二人は美しい。そのあやうい距離感を切なく思い、そしてそれを楽しむ。悲しいお話なのだけど、爽やかさを感じた。2016/01/03
こすも
20
中学生のときに読んで以来の再読です。当時、僕は民さんを救うにはどうしたらよかったのかということばかり考えていた気がします。年を重ねて読んでみると、ストーリーをそのまま受け入れ、純愛や風景の美しさに感動しながら作品を味わえるようになっていました。併録されている「隣の嫁」「春の潮」は、「野菊の墓」のハッピーエンドバージョンというべき胸キュン作品です!2016/08/31
ぽんくまそ
12
住んでいる東葛を舞台にした小説なので東葛になじむための課題本として借りた。が。政夫13才。民子15才。いとこ。と知って。頭の中で「年下の男の子」が流れ始めた。昭和末期のめぞん一刻でさえ2才年上の女性への恋は大変だった。ましてや明治ではなおさらだ。二人で一緒にいると楽しいというだけだったのに周りがとやかく言うから意識し始めて好きになっちゃった。富士山や筑波山まで見える台地で棉を摘む二人の時間がよろしおま。その後の展開は題名でネタバレ。農家の生活も興味深い。ぼくの従姉妹も父方、母方ともに年上でいい女でした。2023/06/11
よしか
5
大学生のときに出逢った本。有川氏の植物図鑑を読んでから、植物つながりで思い出して読書(^^)学生の時には悲しすぎたけれど、久々に読むと…。13歳と15歳の話とは思えない。すごく悲しいんだけれど、二人の純粋な互いを想う気持ちやそれが素直に伝えられない関係のもどかしさ、でも相手に伝えたいという気持ちが表れている言葉たち。出てくる風景や植物の実際は知らないけれど、イメージを更に深くきれいなものにしてくれる。そういう所がこの話をずっと手元に置いておきたいなって感じるところなんだろうな(´ー`)2013/04/05




