集英社文庫<br> 大庭みな子の雨月物語

集英社文庫
大庭みな子の雨月物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087484465
  • NDC分類 913.56
  • Cコード C0193

内容説明

下総の国、真間の郷に勝四郎という男がいた。零落した家を興すため、秋には帰ると妻に言い残し、都に上る。7年後、真間に戻り、妻と情を交わした。一夜が明けると妻はおらず、何年も前に死んだという。昨夜の妻は亡霊だったのだ。(浅茅が宿)ほか「夢応の鯉魚」等8編(「雨月物語」)、と短編歴史小説の「春雨物語」。わが国の怪異小説の最高峰を分かりやすく、面白く読む。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

19
大庭さんの訳はぶつ切りみたいな部分もありますが、それが更なる不安定感を醸し出しているように感じました。「菊花の約」「吉備津の釜」が好きな作品でした。2022/01/11

みけ

11
江戸時代に書かれた怪異小説の現代語訳。妖しい話が連なる。現世を怨み魔道に落ちた崇徳院と西行の対話。妾と逃げた夫を呪い殺す妻。怨念渦巻く話から、死んでもなお義弟との約束を果たす魂、離れ離れになった夫を待ち続けた妻の魂…など情深い話もある。しかしその情の裏側に潜む、理を歪めてしまう程の執着心がどうにも薄気味悪い。ただ、最終話の「樊噲」では主人公は肉親を殺し人を助け、お金を盗みお金をやる。善悪も金銭にも来世にも関心が薄く、生きる事にのみ執着し、時が来れば潔く死ぬつもりの主人公になんだか妙に安堵した。2018/12/23

桑畑みの吉

3
上田秋成(1734‐1809)の『雨月物語』から全9篇すべて、『春雨物語』から全10編中4篇をセレクト。さらに「解説」と「鑑賞」を合わせて20ページほど収録。大庭みな子の現代語訳は古文が大の苦手な私でも読みやすい表現だった。有名なのは幻想的な怪奇談であるが、平安時代に遡る歴史小説や悪漢小説も混ざっている。秋成は国学者だったので自身の歴史観を反映しているようだ。作品中では愛欲に溺れ、食人鬼になってしまった僧の話「青頭巾」が私の印象に残った。読んでいて国語の教科書で有名な中島敦「山月記」の食人虎を思い出した。2023/01/21

Jun Shino

2
夜道で思い出してゾッとした。 読み終わって、強烈なインパクトは正直なかったけれど、正統派なのかな、いう気はした。 上田秋成の作、「雨月物語」「春雨物語」から抜粋した小編が収録されている。「吉備津の釜」とか「蛇性の淫」とか「青頭巾」とか怖いこと。読んでる最中はそうでもないけど、後から来る感じかなと。今昔物語集、源氏物語、伊勢物語、また今昔に材を得た芥川龍之介も読んでそう思うが、物語を組み上げる時に、漢籍・古典を活かし、しかも読み手が楽しめるものを書くためには相当な労力と推敲がいるだろうな、とは今回も思った。2019/05/10

shinoham

0
『夢応の鯉魚』が一番好き!魚になったら魚の餌がおいしそうに思えちゃうんですね。2016/12/03

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