出版社内容情報
早稲田文学部から国会図書館勤務、文学賞を得て作家に。小説家になる典型コースだが、狙っていなかった!? 自伝的エッセイ集!
内容説明
小説家を志していたわけではない―。戦争疎開のいじめと敗戦を経験した少年時代。父を亡くし生活苦のなかの早稲田大学進学、在学中の結核発症。闘病後の就職難を経て、国立国会図書館に勤務し始めると、執筆の誘いが…。思えば、温かな家庭の原体験と折々の読書が、いつしか作家活動の基盤となったのかもしれない。短編の名手が、辛口ユーモアを交え自己を省みて綴る時代批評&自伝エッセイ。
目次
1(読書好き;双子の兄 ほか)
2(司書;三帖一間で ほか)
3(ギリシャ神話;旧約聖書 ほか)
4(自国の言葉;国語審議会1 ほか)
5(朗読;大震災1 ほか)
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。国立国会図書館勤務を経て、作家に。79年『来訪者』で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞受賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
108
阿刀田さんの自叙伝の様なものです。私は一部は日経新聞の私の履歴書で読んでいるのやご自分のエッセイなどを読んで内容的にはわかっているのですが再度まとめて読むといかに努力されてきたかがわかります。結核にかかり普通のサラリーマン的な生活はあきらめたがそのときに読みこんだ小説などがご自分の肉体になったのでしょう。最近はあまり新刊が出ないようですが、漱石や谷崎を読んでいるとのことでまた出してくれるのでしょう。2021/02/13
佐島楓
70
著者の「時代批評&自伝エッセイ」。作家になられる以前に国立国会図書館に勤めていらしたとは存じ上げなかった。加藤典洋さんが後輩にあたるのだろうか。肺病や経済的な苦労をなさっていても、元来オプティミストであったという点が大きな助けとなったのだろう。『ギリシア神話を知っていますか』に助けられた身としては、作家という職業を選んでくださってありがとうございます、と申し上げたい。2021/01/25
優希
42
阿刀田さんの自伝的エッセイになります。小説家を志していたわけではなく、気がついたら小説家になっていたように受け取れました。読書が作家の基盤になっていたのかもしれないからこそ、数々の名短編を生み出したと言えるでしょう。2024/04/25
MIKETOM
8
阿刀田が作家になった理由、というより、阿刀田の生涯(もう86歳だからね)を通して綴った読書遍歴、作家としての考え方、自作品の解説ETC。過去のエッセイなどとの被り話題は相変わらず。だけど、ずっと阿刀田作品を読み続けていると、どの話題でも知ってるものばかりで色んなアングルからの解説なので読んでて楽しい。ただまあ、阿刀田は憲法九条擁護派であって、人を殺すよりも殺されるほうを選ぶのだそうな。それはそれでいいのだがそれを国家レベルに拡大できないかなどと語っている。ハハッ、バ~カ♪ 護憲派ってこんなバカばかり(笑)2021/10/31
kousei
8
昔から好きだった著者の日経と東京新聞に連載された自伝エッセイ。奇妙な味わいでブラックユーモアやキレのある短編で直木賞取った頃はよく読んでいた大家。ある程度経歴は存じ上げていたが、作家になる経緯や、アイデア、知識などの文書化、たくさんの方々との交流など面白く読めた。博学でヨーロッパ古典や宗教にも精通されているので、いつかこのジャンルの作品もチャレンジしたい。2021/08/20