出版社内容情報
藪医者のせがれと後ろ指をさされてきた由太郎は、医学の道を志しながらも挫折し、自分自身から逃れるように長屋暮らしをしている。
家を救おうと嫁入りを決めたものの婚儀の前夜に自ら命を絶った妹、梓のことも常に心に翳を落としていた。
風変わりな錠前屋、次嶺(つぎね)に出会うまでは――。
つかみどころのない、この男と過ごすうち、人と人ならざる者、あの世とこの世が交錯する江戸で固く閉ざしていたはずの由太郎の心に変化が・・・・・・!?
「なに、江戸にいればまた会えましょう。そう広い町ではございませんから」
そうだろうかと、由太郎は空を仰ぐ。
「今日だってほら、私とたまたま会ったじゃありませんか」
「本当にたまたまか?」と、由太郎は訝しげに次嶺に目をやる。
個性豊かな長屋の面々、見世物小屋の幼馴染。
そして江戸の町を、たゆたう次嶺・・・・・・
出会いが、心の鍵を開いていく――
まかふしぎ幻想江戸奇譚・・・・・・!
内容説明
藪医者のせがれと後ろ指をさされてきた由太郎は、自分自身から逃れるように長屋暮らしをしている。自ら命を絶った妹、梓のことも常に心に翳を落としていた。風変わりな錠前屋、次嶺(つぎね)に出会うまでは。つかみどころのない、この男と過ごすうち、人と人ならざる者、あの世とこの世が交錯する江戸で固く閉ざしていたはずの由太郎の心に変化が!?導きの幻想江戸奇譚…!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
悠
10
面白かった 江戸…人と人ならざる者…この世とあの世 薄紙1枚で交わっていた時代 ほぼ一気読みでした。 続編あるならよみたいです。2024/05/17
ひさか
10
2020年4月集英社オレンジ文庫刊。書き下ろし。人でないものと遊べるという錠前屋の次嶺と医者の由太郎の怪異事件譚。由太郎の医者を目指す、くよくよ度合いが、かったるく、引きずり過ぎじゃないかと思いますが、がまんしてお付きあいしました。吹っ切れたようなので、次作では、楽しい展開を期待します。2020/08/15
イシカミハサミ
10
タイトルに奇譚とあって、 確かに不思議なこともあるのだけれど、 すごく現実的な医術の物語も組み込まれていて読みごたえがある。 主人公がマイナス思考によりがちで 仕方ないか、という事情と やっぱこいつ元からこうなんじゃねえ、という苛々が拮抗。 ぎり面白いほうで読了しました。2020/06/20
まそお
7
主人公の襟首掴んであんたって子は!って何度言いたくなった事か!!由太郎と次嶺の距離感が程よかったです。2020/05/21
雪猫
5
電書で読了 ★★★★☆ 少し不気味で不思議で最初はじれったかったけど、人の温かさが感じられてよかった。2020/09/19