出版社内容情報
仄暗い土俗の闇から浮上する怪談文芸。時を超えた地霊の囁きに耳かたむける作家たち。天空から飛来する恐怖の大王(テロリズム)が全世界を戦慄させた、二十世紀から二十一世紀への巨大な転換期にあって、平成日本の怪奇小説シーンは、日本と日本人の深淵へ肉迫してゆく……平成時代に生まれた怪奇小説の名作佳品を、全三巻に精選収録するアンソロジー第二弾!
内容説明
ホラー・ジャパネスクと怪談実話の興隆で幕を開けた平成の怪奇小説シーンは、やがて多くの人気作家や異色作家を巻きこみながら、幻想と怪奇と恐怖の絢爛たる坩堝を形成してゆく。平成の三十余年間に生み出された名作を、全三巻に精選収録するアンソロジー。第二巻は平成10年発表の小川洋子「匂いの収集」から19年の山白朝子「鳥とファフロッキーズ現象について」の全十八作。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。文芸評論家、アンソロジスト。『幻想文学』と『幽』の編集長を歴任。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
114
シリーズ2冊目で平成10年から19年までに書かれた作品の中から東さんが選んだアンソロジーです。18の作品が収められていますが、そのうち3作は手のひら怪談ということで2ページものです。がピリッとした感じです。総じて私には前の1の方が印象に残った作品が多かったように感じました。私がいいと感じたのは既読でしたが、小川洋子、鈴木光司、恩田陸、浅田次郎、森見登美彦らの作品です。好き嫌いが結構あるアンソロジーでした。2019/10/10
藤月はな(灯れ松明の火)
88
やっと2巻を発見することができました。「匂いの収集」は既読。静かでいて官能的な描写に耽溺していたらグロテスクな想像を促す部分に恍惚じみた恐怖を味わう。「一文物語集」は一文だけで喚起される底知れない状況が素晴らしい。私は248が怖かった。『一文物語集』の他の物語も読みたくなりました。「空に浮かぶ棺」は既読。しかし、今までリングシリーズを原作も映画も知らないままでこの短編だけは読んでいるのが複雑。「グノーシス心中」は個人的に合いませんでした・・・。「水牛群」は既読。社会に出た今ではパワハラ描写に吐きそうになる2020/08/12
HANA
79
二巻は十年から十九年までに発表されたものを収録。思い返せばリングの衝撃も恐怖の大王が来るはずだったのも、この時期になるんだなあ。既読の作品も多いのだが、やはりどれも各筆者の特色が良く出た作品ばかり。小川洋子や森見登美彦の怪奇小説は初めて読むが、前者は著者らしい透明な空気感が最後にひっくり返されるし、後者は今までの阿呆大学生とはうって変わって深々と迫る感じが実に良い。アンソロジーピースとなっている「鳥とファフロッキーズ現象について」や『深泥丘奇譚』もこの時期だし、ある種の懐かしさを覚える作品が多いなあ。2021/01/17
sin
63
先の昭和臭の強い作品群に比べて、ここには平成が根付いている。振り返れば昭和のど真ん中に生を受けた自身の道程も平成と云う時代に大きく支配されていることは否めず、改めて平成と云う時代の存在を身近に感じさせられた。若い頃に喧伝されたノストラダムスの予言による終末の年、また新たにはコンピューターの2000年問題が幸運にも不発であったが、翌年には9.11テロの衝撃的映像が茶の間に流れる。この期間、リングに始まるジャパニーズホラーの時代であり多くの作品が映像化された。世紀末にホラーが流行るを地で行く時代であった。2019/12/27
アーちゃん
51
「平成」年間に発表された怪奇小説シリーズの2作目。1998年から2007年までの18篇。編者による巻末の解説によると、この頃は世紀の変わり目とともにインターネットの普及、”異形コレクション”や”てのひら怪談”、”幽”などの専門誌(ネット含む)などが影響を受けているとの事。好みは川上弘美「海馬」(2001)、浅田次郎「お狐様の話」(2006)と森見登美彦「水神」(2006:再読)、山白朝子「鳥とファフロッキーズ現象について」(2007:再読)。バラエティに富む作品群もだけど、当時の時代背景にも興味が湧いた。2025/03/05
-
- 電子書籍
- 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。 【…
-
- 電子書籍
- MONOQLO the MONEY 2…