出版社内容情報
語れないと思っていたこと。
言葉にできなかったこと。
東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。
それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。
第165回芥川賞候補作。
内容説明
盛岡に暮らす美術部の高校二年生・伊智花は東日本大震災を経験し、被災県に住むものの被災者とは言えない自分の立場に葛藤する。依頼を受けて被災地を応援する「絆」の絵を描くが、取材する記者は絵よりも「高校生の描く希望」を見ているような気がして―。言えずにいた思いが会話の中で滴りはじめる初小説。
著者等紹介
くどうれいん[クドウレイン]
作家。1994年生まれ。著書に、『あんまりすてきだったから』(第72回小学館児童出版文化賞候補作、ほるぷ出版)などがある。「氷柱の声」(本作)で第165回芥川賞候補となる。現在、文芸誌「群像」(講談社)にてエッセイ「日日是目分量」ほか連載多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tαkαo Sαito
20
あとがき含め、素晴らしかった。同じ東北で震災経験した近しい年代の者として、単行本のときにはなかなか読もうと一歩踏み出せていなかったのが事実で心の中を読まれているようなあとがきに刺された。読み終わってから心から読んでよかった、良い文章を読ませてもらえたと思える作品。2025/07/06
ことり
2
他人の感情は、わかりたいと思うからこそ勝手に推し量ってしまって難しい 2025/07/10
ザキ
0
震災にまつわる物語をくどうさんならではの視点と筆致で描いていく連作短編。くどうさんのエッセイみたいにするする読めて、個性的な登場人物も多数登場。読みやすいし考えさせられる良作でした。2025/07/15