出版社内容情報
「その旧家の男子は皆、十二歳で命を落とす――」映像制作会社でディレクターとして働く杉田佑季は、プロデューサーの小隈好生から、モキュメンタリーホラーのプロットを託される。「家にまつわる呪い」のロケのため山梨の旧家で撮影を進める中、同僚で怪談好きのAD・阿南は、今回のフィクションの企画と現実の出来事とのおかしな共通点に気付いていく。そして現場でも子どもの失踪事件が起こり……。日本推理作家協会賞短編部門受賞『夫の骨』著者の最新作!
内容説明
「その旧家の男子は皆、十二歳で命を落とす―」映像制作会社でディレクターとして働く杉田佑季は、プロデューサーの小隈好生から、モキュメンタリーホラーのプロットを託される。「家にまつわる呪い」のロケのため山梨の旧家で撮影を進める中、同僚で怪談好きのAD・阿南は、今回のフィクションの企画と現実の出来事とのおかしな共通点に気付いていく。そして現場でも子どもの失踪事件が起こり…。
著者等紹介
矢樹純[ヤギジュン]
1976年青森県生まれ。弘前大学人文学科卒業。実妹との『加藤山羊』の合同ペンネームで、2002年に漫画原作者デビュー。2012年、第10回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家デビュー。2020年、『夫の骨』に収録された表題作で、第73回日本推理作家協会賞短編部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
151
短編の名手・矢樹さんの新作は怖い怖い長編小説。いろんなワードが断片的に散りばめられて、始めから目落とし無いように読むのだが・・ひたひたと不穏な空気が私を飲み込んで行く。雁字搦めになりつつ沢山のどうして?何故?が過去の悍ましい事件と重なり合ってキャー!つまびらかになる真相は私の想像を超える。あぁ・・まさしく撮ってはいけない家だったのだ(あら・・今、喉を鳴らしましたね?)これから白い漆喰壁の蔵の二階に窓があったら、吸い寄せられちゃうかも(汗)ダメと言われたら興味が湧くのが人って生き物だよね・・ 2024/12/08
ぽんすけ
138
心霊ホラー本。本屋で目に付いたので購入したんだが今年最高の当たり本だったなと。私の好みにドンピシャでした。地方の家に纏わる因習が大大大好物なんですよ。そこに因縁や怨念がドロドロ渦巻きまくっていて読んでいてゾクゾクきます。祟り系の理不尽さもきちんと発揮されているしミステリー要素も絶妙な匙加減で入っていて最高に面白かった。人怖やスプラッタじゃなく純粋に心霊!祟り!が好きなんで、最近又この系統の話が増えてきてくれたことがとても嬉しい。今邑さんや若竹さんでも思ったがミステリー作家とホラーはやっぱり親和性高いわ2025/03/10
ちょろこ
128
旧家ホラーの一冊。開く前から蔵のひんやりとした湿度と匂いにまとわりつかれるよう。そして一枚の謎めいた写真はこの先待ち受ける危険シグナルのよう。「家にまつわる呪い」を撮影するため山梨の旧家を訪れた映画制作会社のロケ班一行は何を見るのか。呪わしき家に伝わる、とあるチカラ、蔵に秘められたおぞましき物と者、そして行い。止まらない恐怖の連鎖に肌はただ粟立つばかり。ホラーとミステリが見事に重なりゆく終盤は鼓動が高なり目が離せなかった。と同時にこのタイトルが背筋に氷となって伝うような瞬間がヤバい。尾を引く、引く…あぁ。2024/12/04
しんたろー
126
矢樹さんの新作は、ホラー&ミステリ…ディレクター・佑季と後輩AD・阿南が、いわくつきの撮影現場で巻き込まれる様々な事件…禍々しい呪い、過去の大量殺人、特殊能力の家系、行方不明になる少年など次々に不可解な出来事が起きるので全く飽きずに読み通せた。絡み合う謎を解く過程が巧く展開しているし、恐怖の度合いも「中辛」程度で、サスペンス感が徐々に高まるバランスの良い作品だと思う。ラストもゾッとさせてくれて、ホラーらしい幕引きで納得。欲を言えば、佑季&阿南の魅力が少々薄く感じたので、二人に肉付けをした続編を期待したい♬2025/03/04
☆よいこ
115
オカルトホラー▽映像製作会社のプロデューサー杉田佑季(ゆき)は、ホラーモキュメンタリードラマの撮影のために、山梨県北杜(ほくと)市の白土(しらど)家を訪れる。ドラマ『赤夜家の凶夢』は十二才で男児が死ぬ呪いがある家で、「鬼眼」を持つ異能力者がいるというドラマだった。白土家をモデルにしたドラマは、次第に現実味を帯びていく。蔵の二階から覗く顔や「見るな」という怪声が映り込む。撮影初日に11歳の少年が行方不明になる▽ホラー要素盛りだくさんで満足でした。2024.11刊2025/04/30