出版社内容情報
男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。「村の挿話」「猫柳」「空閨」「増富鉱泉」「男の約束」「落葉」「回転窓」「留守の間」「口婚」「好敵手」「七人の乙女」を収録。
村の挿話
猫柳
空閨
増富鉱泉
男の約束
落葉
回転窓
留守の間
口婚
好敵手
七人の乙女
木山 捷平[キヤマ ショウヘイ]
著・文・その他
内容説明
いつの時にも市井の人として、さりげない日常に、慈しみを含んだ独自の視線を向けていた木山捷平。彼の真骨頂を表出したともいえる、初恋の淡い想い、さりげない男女の出会いと別れ、細君の留守中のちょっとした顛末といった著作の数々を編纂した作品集。表題作の他、「空閨」「留守の間」「口婚」「好敵手」など、短篇の名手といわれた著者の十一篇を収録。
著者等紹介
木山捷平[キヤマショウヘイ]
1904・3・26~1968・8・23。小説家。岡山県の生まれ。33年、太宰治等と「海豹」創刊、34年、「青い花」同人。44年、満洲国農地開発公社嘱託として長春に赴き、45年8月、現地で応召。敗戦後長春で難民となる。96年、木山捷平文学賞創設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
82
このところ毎日木山捷平を読んでいる。短編集で中身に軽みがあるので読めてしまうのだ。これは「純情小説選」というテーマだが、どういう意味かと思いきや、恋と性を扱った小説集だった。私もド純情なので好ましく思いながら拝読。一番好きだったのが表題作『回転窓』。村に来た若い女先生への好奇心。先生は野糞を見つかって気の毒だが、木山捷平という人が性的に正直でおおらかな為か、いやらしさが無く当然なものに思える。老夫婦が思春期時代の性的な思い出を話し合う「口婚」も良かった。こういう老境になれる夫婦なら、結婚も羨むに足るもの。2019/08/10
佐島楓
67
〈大学図書館〉けっこう性的な話題も多いのだが、あまりにもあっけらかんとしているせいか、いやらしくならないのが特徴。戦後直後の文化や空気感に興味のある私には面白かった。深刻なものはあまりないのだけれど、人生が書かれている。2019/07/16
こうすけ
21
木山捷平短編集。簡単に言うと、ちょっとエッチな話を集めている。これが、牧歌的でのどかで、おおらかで、なかなか良い。口婚と好敵手が特に面白かった。2023/11/22
軍縮地球市民shinshin
7
木山の短編集は日常の些事を中心に描いていて劇的な「何か」があるわけではない。しかしどこか心に残る掌編が多い。生前木山は「一冊でも文庫本として残る作品を」と言っていたようだが、講談社文芸文庫には10冊以上刊行されている。賑やかな作品がもてはやされる傾向があるのは今も昔も同じだろうが、こういう地味な作品も良い。ただ終戦前後の満洲を描いた作品は、戦争の理不尽さが木山特有のユーモアで味付けされていてよい作品に仕上がっている。2018/04/09
hitsuji023
5
等身大の主人公がしっくりきて、のんびりと読むことができた。これは小説とは関係ないけれど主人公はいい年で奥さんもいる設定もあるので、「純情小説」というのはセンスがないように思う。まあ、それはさておき味のあるいい小説だった。「村の挿話」「猫柳」「益富鉱泉」「好敵手」がいい。2020/06/13