内容説明
日本語に「主語」はない。それどころか、英語における「主語」の概念すら、実は歴史上遅れて発生した特殊なものなのだ。「主語」は普遍性を持たない文法概念なのである!千年の言語史を遡行して、「天」の言語と「地」の言語を説き明かす、壮大な比較文法論。
目次
序章 上昇気流に乗った英語
第1章 「神の視点」と「虫の視点」
第2章 アメリカよ、どこへ行く
第3章 英語を遡る
第4章 日本語文法から世界を見る
第5章 最近の主語必要論
著者等紹介
金谷武洋[カナヤタケヒロ]
1951年北海道生まれ。東京大学教養学部卒業。ラヴァル大学で修士号(言語学)、モントリオール大学で博士号(言語学)取得。専門は類型論、日本語教育。カナダ放送協会国際局などを経て、現在、モントリオール大学東アジア研究所日本語科科長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てながあしなが
5
イタリア語を大学でかじったときに、ハッとしたことがある。動詞の活用を見れば主語が分かるので、主語をわざわざ記さなくていい、というのだ。確かに、言われてみればそうだ。そう知ると、主語によって動詞の活用を変えるフランス語が、なぜ主語を明示するのか不思議に思えてきた。 英語だって、これらの言語と祖先は同じ。三単現のsや仮定法のwereは、その名残だ。こうした歴史の変遷を辿ると、チョムスキーが「主語は普遍の概念」と説いたのが不思議に思えてくる。 なお、筆者の「今どきの若者は」論は読んでてうんざりした。2020/08/03
天婦羅★三杯酢
4
『パンデミックとたたかう』の中で言及されていたので、古本として入手。論争的な本である。日本語の構造が英語と違う事は重々承知しているつもりだった。しかし英語の構造を古英語からノルマン征服というショックから説き起こす方法は他で見たことがなく、これは結構説得された気がする。日本語における「主語不要論」というものも、ちゃんと読んだのはこれが初めてかも知れない。比較言語学の重畳な知識の披瀝には圧倒される思いもある。2020/04/29
宙庭隼人
2
タイトルの通り、「主語とはどの言語にもみられる普遍的なものではなく、つい最近現れたものである」との主張。三上文法支持派、日本語主語廃止論。英語の構造が今日のアメリカの行動につながってる、というのは言い過ぎなんじゃないかなと思う。2015/10/05
majiro
2
こういうタイプの本を初めて読んだ。名指しで批判し、反論待ってるぞみたいなことを本に書くという文化に驚く。モントリオール大学の件は痛ましく、なるほどと思わせた。
とも
2
「英語にも主語はなかった」の「なかった」は,「日本語には主語がなかった」という「発見」の「た」ではなく,「昔はなかった」という意味だった。なんかひっかけられたような気がするが,本書の主張自体はよく分かった。中動相のくだりはためになった。随所に感情的な記述が見られるが,それがなければもっと評価されるのに,と思うが,筆者の性格なのだろうな。2009/05/06
-
- 和書
- 「最適化」の世界