内容説明
政治の中心「朝倉館」、庶民の生活の跡をとどめる「町並」、人の盛衰を記す石仏、「かわらけ」の山…。まるごと発掘された越前一乗谷は、中世考古学の絶好の素材となった。発掘資料と歴史史料を駆使し、中世の空間を立体的に再現する力作。
目次
第1章 一乗谷と戦国城下町の景観
第2章 中世人の空間意識
第3章 町屋と人びとの生活
第4章 都市を支えた商品―生産と流通
第5章 越前の中の一乗谷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おらひらお
3
1997年初版。戦国大名朝倉氏の拠点の調査を元にかかれたもの。朝倉氏滅亡後、普通の田畑に戻って400年以上手付かずだったことに驚きです。今回はぱらぱら見たので、購入して手元に置く予定です。2011/05/21
イツシノコヲリ(丹波國)
1
中世考古学の立場から一乗谷朝倉氏遺跡を扱った貴重な書籍である。どうして講談社学術文庫で復刊されていないのか疑問に思う。一乗谷遺跡の発掘調査が主な内容だが、陶磁器の流通や敦賀の町割にも触れられていた。個人的には、朝倉氏館の空間構成が「ハレ」と「ケ」の二つに南北で分かれていることや一乗谷と京都・奈良の町屋の規模の比較が興味深かった。住宅史もちゃんと勉強しないといけないな。2022/11/10
tnk
1
遺物や遺構の分析、文献資料の援用から中世都市の全容解明を試みる。歴史学としての発掘調査の可能性を示した。 まだ全国で城下町遺跡の調査が進まない時期の著作だが、この方向性は色褪せない。2019/06/22