内容説明
自然に学び、自然に生きたアメリカの代表的思想家ヘンリー・D・ソロー。彼はアメリカ東部メイン州の森の奥地を数度にわたり探検し、その野性にみちた大自然のすばらしさを本書にまとめた。荒々しい岩山クタードンへの登山やヘラジカとの遭遇、また自然に順応して生きるインディアンのガイドとのふれあい等、興味深い体験の数々が展開される。『森の生活』とならぶ、ソローの思索の到達点を示す名篇。
目次
第1話 クタードン山
第2話 チェサンクック湖
第3話 アレガッシュ川と東流
補遺(樹木;花と灌木;草木の一覧表 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
45
昔、英国の王たちは狩猟のため、食料用に専用の森を作り持っていた。そんな森で過ごしたソローは「たんに王の獲物を保つためではなく、創造の主たる王自身をそこにおき、インスピレーションを得、我々自身の真の再生を得るためのものだ」と回想する。ソローの生き方が現れた言葉に出会えた!2022/06/11
アナクマ
28
1846年、メイン州のペノブスコット川を遡る紀行。この地にいるのは多い順に「きこり、入植者、猟師(インディアン)」の時代。「数時間も旅すればたちまち原生林のふちにたどりつくことができる」◉「こんなところまで人間が来る目的はただひとつ、ホワイトパインを切り出すためだ。ひと冬のあいだ、きこりは木を切り倒し、川べりまで運んで…早瀬や滝で詰まり山のように丸太が積み重なったときには…春の冷たい水の中で身体は乾くことがない。水中に落ちても夜まで衣類を換えない。そんな奴はあだ名をつけられるか、くびにされてしまうのだ」→2022/05/07
てり
3
ソローによるメイン州の森林地帯探検記。「コッド岬」と同様な旅行・探検記だが、こちらは経路にほとんど住人がいない分、自然の描写がより濃厚となっている感。印象に残ったのはガイドのインディアンとのやりとり。森の住人としての彼らのサバイバル能力の高さに感心させられる。Googleマップで見た感じ、今でもそれほど人の手が入ってなさそうなメインの森。Youtubeで検索するとヘラジカ狩りも行われているようで、170年前の自然が今でも保たれているなら喜ばしいことである。2022/05/02
moti moti
0
いわゆる旅行記で、思索的な文章は多くない。しかし、自然への細やかな眼差しやインディアンとのコミュニケーションなどにソローの人間性がよく現れている様な気がする。クタードン山、名前が良い。2024/04/15