感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gokkey
13
ソフィスト≒詭弁家というぼんやりとしたイメージを持っていたが(多くの人がそうであろう)、その思い込みを見事に覆される一冊。著者の幅広い見識と慎重な歴史復元が2,500年ほど前に生きた人たちをその社会の中で描き出す事を可能にしている。確かに弁論術に長けてはいたが、アテナイの人間に対して政治教育や人間教育などを施して報酬を得ていた。この弁論術はその後、問答競技という一面を帯びることとなる。2020/11/07
misui
5
悪名ばかりが先行しがちな「徳の教師であり、弁論家であり、問答競技家」であるソフィストについて。当時の社会体制において弁論がいかに重視されその教育者が地位を得たかについては驚くが、「つまりゴルギアスの弁論術なるものは、何も知らない人たちを相手に知ったかぶりをする手なのである」などと書かれると笑ってしまう。本来なら徳育に繋がるような技術もそのように姿を変えてしまっては悪名も納得するところである。また、『メノン』の「徳は教えられうるか」という問いが真剣に考えられていたものと知ることができたのもよかった。2020/01/16
有沢翔治@文芸同人誌配布中
3
プロタゴラスやゴルギアス。ソフィストと言うと、詭弁を教えているとプラトンの著作では受け取れる。しかしもとはといえば「知識を教えるもの」であり否定的な意味はない。プロタゴラスの実態はどうだったのだろうか。文献の読解を通してソフィストたちの実像に迫る。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51519793.html2021/07/24
♨️
3
「ソフィスト」という語は誰を指し、また、どういう意味であったのかを史料から論じ、「徳の教師であり、弁論家であり、また問答競技家」であるとする。徳については伝統の受け売りしかしなかったものの、後ろ二つについてはソフィストの活動が積極的意義も持ったことが明記されている。そうした人々の現れた理由を、アテネを盟主とするデロス同盟が成立し(=ソフィストが外部から訪れるようになった)民主制が成立した(=家柄や財産のみでは大物になれなくなった)ことに見る5章と、自然哲学に基づくノモス(感覚事実)とピュシス(真実在)2020/11/13
horada
0
****2024/06/23