出版社内容情報
殺人事件の現場になった賃貸マンション。退去者が相次ぎ困った大家は、住むことで瑕疵を軽減してくれる「瑕疵借り」の藤崎を頼る。そんな藤崎のもとを、犬を捜しているという秋枝が訪ねてくる。事件で殺された男と愛犬の失踪――真相に気づき、犬を見つけ出した藤崎は、程なく別の依頼である戸建てに赴く。家主はなんと、先日知り合った秋枝だった。思わぬ展開に戸惑いながらも藤崎はその“奇妙な戸建て”に入居する……。
内容説明
殺人事件の現場になった賃貸マンション。退去者が相次ぎ困った大家は、住むことで瑕疵を軽減してくれる「瑕疵斜り」の藤崎を頼る。そんな藤崎のもとを、犬を捜しているという秋枝が訪ねてくる。事件で殺された男と愛犬の失踪―真相に気づき、犬を見つけ出した藤崎は、程なく別の依頼である戸建てに赴く。家主はなんと、先日知り合った秋枝だった。思わぬ展開に戸惑いながらも藤崎はその“奇妙な戸建て”に入居する…。
著者等紹介
松岡圭祐[マツオカケイスケ]
1968年12月3日、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部を超える人気作となった。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化され、さらにブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞、17年には吉川英治文庫賞候補作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
130
楽しめた一冊。今作は長編、間取り付きでがっつり楽しめた。住むことで瑕疵を軽減することを生業とする主人公藤崎が送り込まれたのは殺人事件があったマンション。そこに絡んだ愛犬の失踪事件。鮮やかな真相の解明にスッキリ。からの舞台は過疎化戸建て住宅へ。この戸建てがかなりヤバい。昼夜問わず光る老人達の監視の目。近所づきあいトラブルを筆頭に奇妙な間取り、あり得ない場所にあり得ないものが…と恐怖と不可解、思いがけない展開を存分に盛り込んだ見事な仕上がりがすごい。そして語られる藤崎の過去と心情がちょっとせつない物件ホラー。2024/05/02
tonnura007
101
殺人現場となったマンションに瑕疵借りの藤崎が入居。そこに愛犬を捜す秋枝が現れ、藤崎は犬を見つけ出すことに成功する。その後、とある戸建ての家主である秋枝自身から藤崎に依頼が入る。母子が訪れた後、行方不明になったため近隣住人から犯人扱いされているという。藤崎は秋枝とともに戸建てに入居するのだが、 瑕疵借り藤崎の第2作。前作は短編だったが本作は長編。また本作では視点が藤崎のものとなっており前作とはテイストが大きく違う。図面を使った謎解きは面白く、結末にも驚いた。普段は淡泊に振舞っている藤崎の人間味が感じられた。2024/10/22
ma-bo
98
欠陥や事件等、瑕疵の度合いを軽減させる「瑕疵借り」を生業とする藤崎が主人公の第2弾。前回は4編の短編集。今作は最初の話で関係した男が、瑕疵借りを雇う家主として登場する長編仕立て。ホラー風のミステリー。前作は周りの関係者目線で進んだ流れだけど、今回は藤崎目線。前作の様なテイストの方が好みかな。過去や今の状況が明かされる流れもあり。松岡さんの作品らしく話に関係する、挿まれる蘊蓄が興味深い。2024/06/07
真理そら
82
シリーズ2作目(続編?)は長編。八街といえば落花生という認識しかない私にはこの住宅地の成り立ちそのものも興味深く読めた。事故物件は賃貸だけでなく一戸建てにもあり、こちらは売却に苦労するから藤崎の出番もある。瑕疵借りの藤崎目線で展開するので藤崎という男の過去も少しわかる。1作目よりミステリー要素が多く登場人物はすべて不気味。1作目とは異なる味わいでこれはこれで楽しく読める。2024/03/05
aquamarine
81
訳あり物件の瑕疵を洗い流すために住み込む・藤崎シリーズ2冊目。前作は瑕疵あり物件の原因となった賃借人の関係者視点で進む連作だったが、今回は後半は殆ど藤崎視点で進む長編。藤崎視点で依頼者の秋枝との会話が多いため藤崎の過去の一部や現在置かれている状況が少し明らかになったのが興味深い。藤崎の調査にそって読み手も間取り図を参照しながら追いかけたり図に描かれない部分を探すのにも夢中になった。古い戸建て+近隣関係…次々に現れるいかにもありそうなあれこれがまるでホラーで、私にはそこに住むという選択肢はとれそうもない。2024/04/25