内容説明
平凡で天涯孤独な27歳の知花に、縁談が舞い込んだ。資産家の飯盛家の長男に気に入られたのだ。広大な森に囲まれた屋敷、外部との接触を嫌う家族や親類たち。知花は義母らから一族に伝わる決まりごとを学んでいく。そしていよいよ年に1度の重要な仕事、ひとり暗い森に分け入って“あるもの”を得てくることを教えられた―。選考委員一同が前代未聞の怪異と驚嘆し、『幽』怪談文学賞特別賞を受賞したきんきらゴシック・ロマンス!
著者等紹介
添田小萩[ソエダコハギ]
1979年、京都府生まれ。大阪大学文学部人文学科卒。「この世の富」で第8回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞を受賞。受賞作を改題した『きんきら屋敷の花嫁』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
42
妙な話でしたね。だからといって面白くないわけではなく、1日で読んでしまうほど興味をそそられたわけで。。旧家の繁栄の元は、1年に1度その家を訪れる金を吐く女のおかげ。でも、そんなに大事にされているわけでもなく~。だからといって金にあかせて贅沢三昧してるわけでもないんだけど。ラストの締め方がもう一つだと思った。逆に言うと引っ張りすぎたのかも。もちっと短くてもよかった。2016/06/04
らむり
32
面白かった。ホラー文庫だけど、怖くない。グロくも気持ち悪くもない。ただ珍しい世界。2014/04/30
カピバラ
25
不思議な話だった。結局金を生み出すには、犠牲が必要なのか?不思議な一族に嫁いだお嫁さんの話。2014/07/23
キキハル
20
選評でも「変だ変だ」と言われていたので、どんなに変なのだろうと期待して読んだ。結論から言うと、それほど変な感じは受けない。富の入手方法が荒唐無稽・奇想天外で、その発想の柔軟さにやられた。ストーリも良く練られており読み物として面白い。労せずに手にしてきた富を守り、それに頼って生きてきた一族の面々の、なんと浅ましく脆弱なことよ。非日常下で逞しく生き抜くすべを身に着けているのは、素直でいうことを良くきく庶民出の花嫁・知花だけだったとは。栄枯盛衰。奢れる者は久しからず。どこまでも暗い終わり方もなかなか好ましい。2014/07/19
アルカリオン
12
第8回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞。「変な話」である点を選考委員が評価したとのこと。本作がデビュー作だが文章は極めて自然。個人的評価は「悪くはないけどそれほどでもない」という感じ。2022/09/24